海の気象

台風と数値予報 松村崇行(気象庁予報部数値予報課)

一、 はじめに
気象庁が発表している天気予報や海上予・警報は、数値予報と呼ばれるコンピュータシミュレーションの成果に基づいて発表されています。数値予報は、数値予報モデルという仮想的な地球大気を計算機の中で実現し、これを使って未来の大気の様子を予測する技術です。膨大な計算量を必要とするため、超高速のスーパーコンピュータが使われます。
気象庁では、高度情報化社会における多様なニーズにきめ細かく応えられる体制を整えるため、平成八年三月にスーパーコンピュータを最新鋭の機種に更新して数値予報の拡充を行いました(本誌平成八年一月号の「海の気象」をご覧ください)。洋上で最も関心の高い台風の進路予報についても、予報精度の向上と予報期間の延長という二つの視点で数値予報の充実が図られました。
予報精度の向上については、数値予報モデルの精密化とともに、従来一日二回行っていた台風のための数値予報を一日四回に増強して、刻々変化する台風の実況をいち早く数値予報に反映するようにしました。
従来から要望の強かった予報期問の延長については、数値予報による三日予報を実施できるようになりました。発表される台風予報については平成九年度中の三日予報の実現に向けて、現在精度評価など準備を進めています。
ここでは、数値予報による新しい台風予報について紹介します。
二、 数値予報モデルと台風予報数値予報モデルは大気を格子状に細かく分割して、その一つ一つの格子点で風や気温を計算します。

 

<表>気象庁の数値予報モデル

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