海の気象

日本海西部の気象

菊地哲也(舞鶴海洋気象台予報課長)
一、はじめに
気象庁は、船舶向けの情報として海上の予報、警報を発表しています。舞鶴海洋気象台では、図に示す領域を「日本海西部」とし、海上警報を担当しています。
日本海西部の海上予警報は、三海域に細分して発表されますが、これらをまとめた全体に月別海上警報発表日数を表に示します。

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この日数の数え方は@細分海域のいずれかに警報が発表された場合、一日とするA同一の警報を異なる細分海域に発表した場合や日に二度以上発表した場合、一日とするB同一日に異なる警報が発表された場合、それぞれについて一日とするC警報が継続して翌日に至った場合、翌日も一日とする――としています。
ここでは、表に見られる海上警報の日数の傾向から、日本海西部の気象の季節ごとの特徴について概要を述べてみましょう。
二、冬の季節風
表では、海上強風警報の発表のピークは十二月から二月の間で、月の半分以上の日数となっています。時には、最大風速二十五メートル/秒以上の海上暴風警報になることもあります。これはいうまでもなく冬型の気圧配置における季節風によるもので、日本海西部においては、冬は最も警戒すべき季節といえるでしょう。

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最大風速の強さは、大陸の高気圧の強さや低気圧の発達程度あるいは上空の寒気の強さなどによって異なりますが、季節風型の場合の多くは、短時間のうちに沿岸に向かう波が高まり、四から六メートルに達しますので注意が必要です。
季節風時にはもう一つ注目しておきたいことがあります。それは、朝鮮半島北部の高い山地の影響で大陸からの寒気の流出方向が乱れる現象です。すなわち、山地の東側を通った北風と山地の西側から南側をまわった西寄りの風が、日本海西部でぶつかり合うことになり、ここにしばしば小さな低気圧の渦をつくることがあります。
このような場合天気図上では、日本海西部に気圧の谷があり、冬型の気圧配置としてはあまり強くない時期にあたるようです。また、気象衛星からの写真では、よく知られている筋状の雲とは別に、朝

 

 

 

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