全国でGMDSS講習会

当協会((社)日本海難防止協会)は、日本財団(日本船舶振興会)から補助金を受けて、海上保安庁の全面的なご協力のもとに「新しい遭難・安全通信システム推進事業」を行っている。
一九八八年十月「海上における人命の安全のための国際条約=SOLAS条約」が改正され、新しい海上遭難安全通信システム「海上における遭難及び安全に関する世界的な制度=GMDSS」の導入が決定した。
このため、わが国では、船舶安全法、電波法等の関係法令の改正が行われ、船舶の種類や大きさ、航行区域、国際航海・非国際航海等の別に、搭載すべき無線電信・電話設備、航海用具、救命設備等が新しく規定され、平成四年二月一日から平成十一年一月三十一日までの間に段階的にGMDSSの無線設備を設置することが義務づけられた。
そこで当協会は、海運、水産、造船、海洋レジャー等すべての関係者に対し、GMDSSの概要新制度の有効・有益性ならびに船舶搭載機器の適正な取り扱いなどについて広く周知し、GMDSSの円滑な導入の促進を図るとともに、プレジャーボート等についても関連機器の搭載の促進を図ることを目的として、平成七年度から本事業を実施している。
事業の内容は、推進活動用教材(ビデオ・パンフレット)の作成配布と推進活動で、推進活動は講習会による周知に重点を置いている。七年度のGMDSS講習会は海上保安協会との共催で、海事関係者を対象に昨年十二月から本年二月まで全国十一カ所で開き、計一千三百一人が参加した。
〈講習会の場所と参加人員〉
札幌市七九人・多賀城市一四七人・横浜市一四七人・名古屋市一四三人・神戸市一五〇人・広島市八五人・北九州市一六〇人・舞鶴市八六人・新潟市九七人・鹿児島市一〇二人・那覇市一〇五人

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鹿児島地区GMDSS講習会

鹿児島では百二人
鹿児島地区の講習会は、二月二十一日午後一時半から鹿児島市内城山町の城山会館で開いた。
会場は、薩摩が誇る偉人・西郷南洲(隆盛)翁終焉の地の隣で、関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー等の海事関係者百二人が出席した。
初めに海上保安協会鹿児島支部の牧田常任幹事が主催者のあいさつ、続いて児玉鹿児島海上保安部長が来賓のあいさつで、それぞれ「本日の講習会の趣旨を理解のうえ今後の業務に活用してほしい」と述べた。
次に講演に入り、九州運輸局鹿児島海運支局の後野船舶検査官が「GMDSS設備の検査等」について@船舶安全法および関係政省令におけるGMDSSの適用AGMDSS設備の搭載要件B設備の保守方法の選択――などについて要点をまとめた説明を行った。
十分間の休憩のあと、第十管区海上保安本部警備救難部通信課の砂坂専門官から「GMDSSと海難救助」のテーマで、GMDSSの導入の経緯や概要、有効性等について資料に基づき、事例を交えた講演があった。また途中で当協会が制作した周知用ビデオ「GMDSS」を放映した。
参加者は終始講演に聞き入り、講演のあとの質疑では@陸上保守の業者は指定されるのかAインド洋海域の通信網の整備が遅れていると聞いているが進展状況はBナプテックス放送の気象情報は、できるだけ新しい情報を提供してほしい――などの質問意見が出て午後三時三十五分に閉会した。

 

 

 

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