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「海上における安全対策は、航行安全対策、船内労働に関する安全衛生対策、輸送貨客・漁獲物の管理上の安全対策、海洋汚染に関する環境対策などの多面性を持っているわけですが、当組合は“海難ゼロヘの願い”を念頭に、続発する海難絶滅を希求し、創立以来一貫して@関係法規の整備A環境の整備B船質・装備の改善C審判制度の改正Dわれわれ自身の自覚の向上、などを掲げて組織を挙げ国際的運動を展開しています」と組合の安全対策の取り組みを説明。「昭和二十六年に海難統計を取りはじめて以来、わが国周辺海域における要救助海難の状況は、減少傾向にあるものの、海難の原因は見張り不十分、操船不適切、気象・海象不注意などの運航過誤によるもの、船体や機関整備点検不良を含め、いわゆる“人為的要因”によるものが多く先のロシア籍タンカーの船体折損沈没事故による重油流出は、沿岸はもとより広く日本海を汚染、今後の同海域の環境と資源へ与える影響が懸念されています」「また一月十三日には韓国済州島において、パナマ船籍貨物船と衝突し、懸命の大規模捜索にもかかわらず、今日なお行方不明となっている以西底曳漁船の事故原因も“人為的要因”の典型といえます」
と最近の重大海難を残念がる。
「社会経済の維持発展は、安全の上に成り立つものであり、とりわけ資源と食糧の乏しい島国日本の今日の基礎は、多大な犠牲を払いながらも、海を媒介とした貿易と水産資源の確保によるものと自負していず、このように海難が続発するのは、それに対する根本的な解明がなされていないことや安全を無視した経済優先の運航を行っているからであり、今後海難についてはその背景を含め、あらゆる角度からの徹底的な解明をし、事故の再発防止をはかる関係省庁と労使が参加した協議機関の設置を望んでいます一と海難防止のための官労使からなる協議機関の必要性を強調して結んだ。
〔略歴〕S19年富山県生まれ、釧路市位弥生中学卒業、中型さけ・ます流し網兼業船の船長を経て、S48年12月16日付全日本海貝組合執行部員、釧路、根室、清水、焼津、漁船同盟、漁船部を経てH8年11月より現職。

 

 

 

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