海の気象

効率的な船舶気象報作成について

島田修
(気象庁気候・海洋気象部海上気象課)
船舶からの気象通報の重要性
船舶からの気象観測データは、気象電報一船舶気象報)として気象庁に集められ、予報・警報などの情報に加工され、船舶の航行安全に役立っています。この気象電報は国際的にも直ちに交換され、日本だけでなく多くの国々での天気予報にも役立てられています。
さらに、日本に帰港した時に気象庁に郵送していただいている船舶気象課測表は、気候変動等の地球環境の監視のための貴重なデータ源となっています。例えばその過去資料からは、図1に示したように世界の海面水温が百年で0.5度Cほど上昇している様子が見られ、地球温暖化問題の観点から注目されます。
気象庁では、乗組員の皆様による気象観測・通報をできるだけ正確かつ容易に行えるよう、これまで「船舶気象観測指針」や「船舶気象課測表による報告及び船舶気象通報の手引き」寺観測・通報のための支援資料(日本語・英語版)を船舶(主に国際航海従事船舶)に配布してきました。しかし、観測・通報を実際に行っている乗組員の方々からは、海上気象の観測や船舶気象報の作成が複雑で難しいとの意見が多く寄せられています。
近年、乗組員の減少、外国人乗組員の増加等が急速に進み、気象目測・通報の作業に携わることのできる人員および時間が制約されてきていますが、一方で多くの船にインマルサット通信端末やパソコンなどの新しい情報通信機器の導入が進んでいます。

<図1>全世界の陸上気温(実線)と海面水温(破線)過去140年間の長期にわたる変化。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第二次評価報告書(1995)より。

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