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「当センターは海中転落や海難事故で海中に投げ出された漁業者の安全確保を最重点に、第一管区海上保安本部、北海道と連携して、昭和五十六年からオレンジべスト連動(救命衣を着よう運動)を展開し、救命衣の常時着用を呼びかけてきました。その背景には、当センターが発足しました昭和四十九年から平成七年までの二十二年間に北海道周辺海域における漁業者の海中転落者は七六九人、うち死亡・行方不明者が六六一人で、実に十人のうち助かったのは一人か二人という深刻な状況が続いたからです」とまずオレンジベスト連動の目的と背景を語る。
「こういう残念な結果の最大の要因が、救命衣の不着用にあることを漁業者もよく知っているのですが、作業の邪魔になるとか、暑くて汗をかくなどの理由から着用率が低く、加えて漁業者の高齢化や一人乗りの操業の安全対策の面からも、常時着用のできる安全衣の開発が全道の浜から強く求められていました。このため当センターでは、日本財団から補助をいただき、平成五、六年度の二カ年にわたり調査研究を重ねました結果、常時着用のできる着やすい、通気性・作業性のよい、また漁業種や季節に合わせた実用的な“小型漁船用常時着用型安全衣”を開発、平成七年度から啓蒙普及講習会を開くなど着用の促進に努めており”着てこそ役立つ安全衣”として着用率が高まることを念願しています」と安全衣の改良の経緯と着用の促進について述べる。
「昨年は、千二百人が参加した漁船海難防止全道大会の開催、各浜での講習会、訪船指導、広報紙の配付、さらに各組合に実践組織として海難防止対策委員会の設置の促進など各種の事業を実施しました」と具体的取り組みを力強く説明。
最後に「関係省庁や中央の関係団体には、北海道や東北地方のように大部分の船舶が船舶安全法や船員法の適用に満たない小型漁船の安全対策について、これまで以上にご理解。こ支援をお願いしたいと思います」と要望して結ぶ。
〔略歴〕昭和二年北海道生まれ、二十四年函館水産専門学校卒、二十五年北海道庁入庁、五十七年北海道水産部国際漁業課長、五十八年現職

 

 

 

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