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7.出生率の動向

 

1900年代の合計特殊出生率は時代によって大きく変化するにもかかわらず、女性一人当たりの平均子ども数は図10に示されるように、2人である。
出生率を左右する主な要因として、まず考えられるのは、出産可能な年齢にある女性がいつ(何歳で)子どもを生むかということである。1945年以降に生まれた女性の出産年齢の高齢化がスウェーデンの傾向として指摘される。1945年生まれの女性は25歳の時点で41%が出産経験をもたないのに対して、1958年生まれの女性をみると25歳のときに出産経験をもたないのは58%である。つまり、初子出産年齢が延期(高齢化)される期間、合計特殊出生率は低下し、出産年齢の移動がとまると出生率は上昇し、その後しばらくしてまた低下することが指摘されるのである(SCB 1995:2.3;Stenflo,1996)。出産年齢の移動(とくに初子の出産年齢)は、長期的に各年の出生率に影響を与える要因だといえる。短期的に左右する要因としては、たとえば社会経済的な不安定があげられる(SCB 1994:2)。また、年間出生率に影響を与えるのが、子どもを生む間隔である。育児休暇手当金が同じ額で給付されるための出産間隔期間が、1986年、24か月から30か月に延長されたことによって、次子との出産間隔が以前よりも短くなったことが指摘される。
ほかに考えられる重要な要因は、二子以上の多子出産の割合がどのくらいかとい

 

図10 1870−1951年に生まれた女性一人当たりの平均子ども数

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出所:Stenflo 1996 p.13

 

 

 

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