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年金や手当金などの社会保険が所得保障を行なうものである。つまり、共働き家族の最大の保護者は社会保険や公共サービスを供給する国なのである。

 

6.3 個の自立を基礎とする共働き家族

共働き家族はスウェーデンの現代化された家族をもっとも適切に表現する言葉だと述べたが、他に現代家族、一人親家族、非婚/事実婚家族、継父・継母家族、再構成家族、複合家族など、実にさまざまな定義が家族社会学において使われるものである。定義の多様性は「ポスト核家族化時代」の家族形成ならびに共同生活形態の多様性を象徴するものであり、また各定義はそれぞれの理論的見地に基づくものである。家族理論の目的とするところは、家族形成における個人の選択の背景にある合理性や、個人が家族や世帯構成を通してどのように人生を形成するかを理解することにある。とすれば、共働き家族という定義は家族生活の変化を理解するにあたって、扶養という概念が中心的な意味をなすといえよう。また、経済的な見地とともに重要なのが個の自立である。つまり、個別的生活単位としての家族である。
Bjornberg(1992)によれば、従来の伝統的な家族と共働き家族の決定的な違いは女性の家族へのかかわりあいが就労をともなうことである。共働き家族の同意義語として使われるのが、「現代家族」、「非伝統的家族」、「仲間家族」、「平等な家族な形態」などの定義である。伝統的家族においては男女の役割が異なったのに対して、新しい家族形態、たとえば仲間家族においては両性が同じ立場にたち、共同の権利と義務を負うものである。
共働き家族は普通、核家族のほかに一人の親が就労し子どもを扶養する一人親家族、再構成家族、継父・継母家族も包括する定義である。したがって、共働き家族の生活形成を構成するメンバーを包括するには、実際の日常生活を構成する家族集団(ファミリィー・サークル)という定義が必要になってくる。この定義は、居を共にしない親や再構成家族における世代関係や親子関係を明確にするにあたって必要となってくるものである。
女性就労率の増加により、以前女性によって行なわれた私的でしかも無報酬な養育・介護労働(女性が男性の所得によって扶養されるという形で、伝統的な養育・介護労働は一種の支払いを受けたといえるが)が公的責任となり、税金や市場の条件に基づいて支払われるようになった。子どもの保育についていえば、スカンディナビア諸国、とくにスウェーデンとデンマークでは保育は社会の責任であり、国とコミューン(第一次地方自治体)によって組織化された公的な報酬労働となった。また、就労女性は子どもの養育にに必要な一定期間就労が不可能なため、いわゆる所得喪失保障としての有給育児休暇手当金((両)親保険)が所得比例で給付される。男女両方の親を対象とする(両)親保険は、かたや所得喪失による個人の生活の安全を保障し、かたや養育や教育を必要とする子どものニーズを保障するものである。

 

 

 

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