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denmark,1980)。
住宅手当金はニーズはあるが所得状態がともなわない場合に給付されるもので、しかも課税対象にならない。住宅手当金の大きさは所得や家賃、世帯形態に関係するものである。住宅手当金は二つの構成部分から成り立っており、ひとつは世帯における子どもへの援助としての手当金であり、ふたつめは住宅経費に対する手当金である。手当金はしたがって世帯の子ども数に関係し、18歳までの児童・青少年のいる家庭を対象とする。18歳以上になれば、勉学援助や児童手当金の延長という形で援助される。従来、国の補助金を受けてコミューンが財政運営にあたっていたが、1994年からは完全に国の財政責任に切り替えられた(E1mer,1994)。住宅手当金にかかる経費は1990年代前半において増える傾向にあることが指摘される。

 

4.3.3 養育費と養育費立て替え(前払い)金

1934年、子どもの扶養に関する経済的原則を調査するための委員会が設置された。委員会は、父親による養育費の支払いが困難であることと、子どもがその犠牲になっていることを指摘するものであった。委員会は、国による婚外出生児に対する扶養の立て替え(前払い)と父親の事後返済を提案し、養育費立て替え(前払い)制度が1937年に導入された。前払い最高額は父親が支払うべき養育費と同額の360クローネ/年と規定するものであった(Myrdal,1944)。
また親が同居しない場合の、子どもへの養育費取り立ても困難であった。たとえ、養育費支払いが任意の契約に基づくものであっても支払われなかったり、あるいは支払いが不可能になる場合がしばしばであった。養育費の義務が裁判によって決定された場合は、不払いになる場合がなおさら多かった(Elmer,1994)。
片親のみが親権者である場合、子どもは親権をもたない親から養育費を受ける権利を有する。両方の親が親権者である場合でも、子どもが片方の親としか同居しなければもう片方の親に養育費の支払いが要求される(Var trygghet,1996)。
扶養責任者が養育費の支払いの怠慢あるいは不可能により、子どもが経済的損失の犠牲になる必要はないという基本的な考え方は、今日の養育費立て替え(前払い)制度も変わらない。養育費立て替え(前払い)金は、普通子どもが18歳に達するまで支払われ、現在の年間支払い額は14,080クローネ、つまり月額1,173クローネである(Var trygghet,1996)。養育費はまた、親権を持ち子どもと同居する親に支払われるものである。

 

4.3.4(両)親保険(育児・児童介護休暇保険)

(両)親保険は、1974年従来の母親保険にかわって導入された(SOU 1982:36)。母親保険の前身である母親現金給付は1937年に導入されたもので、すべての妊婦に対する一時金給付を内容とするものであった。母親手当金が意図したのは、出産な

 

 

 

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