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完全に満たすことが可能であると見られる。全体的にみて、保育所の数を増やすためにはほとんどのコミューンが対策に取り組んだといえる。完全な対応ができていないコミューンは数少なく、すでに長い待機期間なしの入所提供が可能である。対応の内容をみると、保育所ならびに学童保育所の児童グループの定員増加(77%)によるのものが最も多く、次が新しい保育所の開設(59%)や職員の雇用増加(44%)によるものである(SOS Meddelandeblad Nr 11/96)。多くのコミューンがとった児童グループの定員増加による対応に対して、社会庁経済危機の下においても法の掲げる質の要求に十分答えるが重要であることを述べ、とくに、移民・難民・児童、そして特別のニーズをもつ子どもたちへの援助がなされるように指摘している。

 

4.3 手当金

 

4.3.1 児童手当金

 

1948年、人口問題委員会の提案(SOU 1983:13)によってすべての子どもに対する児童手当金制度が導入された。児童手当金は従来の課税制度における児童控除にとって代わるもので、普遍的社会政策への基本的転換を意味した改革のひとつであった。当初の手当金は、子ども一人当たり年間260クローネであった。また当初、地方税では児童控除が残されたが、1952年には完全に廃止され児童手当金が260から290クローネに引き上げられた。その後、何回かにわたり手当金は引き上げられ、課税の対象にはならない(SOU 1972:34)。手当金の水準や、すべての子どもに同一額給付か多子加算するかなどの議論がなされてきたものの、児童手当金に対しては今日まで政治的合意が得られてきたといえる(Hinnofors,1992)。
今日、児童手当金はスウェーデン国籍を有し、国内に居住する子どもに対して、16歳に(正確には16歳と3か月)なるまで給付される。また、他の北欧の国の子どもでスウェーデンに居住する場合は、スウェーデン国籍の子どもと同じ権利を有する。財政負担はすべて国が負うものである。しかし、経済危機の下、児童手当金導入以来初めて、1996年1月1日から、子ども1人1月750クローネから640クローネに切り下げられた。3人以上の家庭には、1982年以降多子加算金が給付されたが、これも1996年から廃止された(Var trygghet,1996)。

 

4.3.2 住宅手当金

有子家庭に対する重要な経済的援助として存在するのが、住宅手当金である。最初の住宅援助は住宅社会問題委員会によって1940年代未に提案され、いくつかの変遷を経てきたが、1969年国による住宅手当金制度が導入された(Lindberg&Nor−

 

 

 

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