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5.8 検証結果

 

対象地域の加速度分布を示したものが図5−4(A)安中式、(B)福島・田中式、(C)翠川式である。各回ともほぼ300〜450ガルの地域が多いことがわかる。岐阜市は震源から近いところで10Km、遠いところで30Km程の距離がある。
安中式を見ると、最大は市の北西部の450〜500ガル、最小は東部の250〜300ガルである。概して市の西部は350〜400ガル、東部は300〜350ガルの階級が多くの面積を占めている。
福島・田中式を見ると、最大は市の北西部の500〜550ガル、最小は中央山地から東部にかけての300〜350ガルである。概して、市全域では350〜400ガルが多いが、特に西部では400〜450ガルが多くを占めている。
翠川式を見ると、最大は市の北西部の450〜500ガル、最小は東部の250〜300ガルである。概して市の西部は350〜400ガル、東部は300〜350ガルの階級が多くの面積を占めている。安中式と翠川式の分布はほぼ同一であるが、市の東部地域を見ると安中式の方が250〜300の階級が多く、翠川式の方が300〜350ガルの階級が多くを占めている。また市の北西端の地域を見ると2回とも350〜450ガルの階級が示されているが、安中式の方が400〜450ガルの階級が多いことがわかる、これは図5−2で示されているように、震央から100Km以内では安中式の減衰率が最も大きいことから、距離による違いが顕著にあらわれているためと考えられる。

 

5.4 まとめ

 

算定結果を比較すると、安中式と翠川式はほぼ同じ分布、福島・田中式は2式と比べやや高めの結果が示されていることがわかる。実際の加速度分布と比較してみると、図5−1から岐阜の市街地では300ガル程度の値となっていることがわかる。これに対し、安中式では300〜350ガル、福島・田中式では350〜400ガル、翠川式では300〜400ガルの結果がえられる。図5−1の加速度分布は墓石の移動から加速度を回帰したものであり、実際よりもやや低めの値となることを考慮すると各式とも妥当な結果がえられていると考えられる。
しかし一方で、本システムの対象地域外ではあるが図5−1から岐阜県南部域では広い地域で400ガル以上の地域が示されていることがわかる。これは震源からの距離ではなく地盤が軟弱であることからこうした分布になったと考えられるが、本モデルの地盤増幅率では最小の1種と最大の2種との間に30%の開きしかないためこうした結果はえられにくい。今後は地盤の応答解析結果を用いるなどして地盤の増幅特性についてさらなる検討を重ねることが課題としてあげられる。

 

 

 

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