日本財団 図書館


 

3.1.2 地震動計算

 

2次ポリゴン別に算定される地震動は地表面加速度であり、単位はgalである。地震動の算定は震源から基盤を伝わり各地区下の基盤へ到達したときの基盤面加速度を算定し、ついで地盤種の違いにより増幅して地表面加速度を算定する。
基盤面加速度の距離減衰式は一般に知られているものがいくつかあるが、本システムでは安中ほか(1987)と福島・田中(1991)、翠川(1989)による3式から選択を行う。与式および必要となる変数は前章で説明した通りであり、3式とも基盤面加速度は地震の規模と震源までの距離により決定している。
基盤面加速度から地表面加速度をもとめるときの地盤の増幅特性は「道路橋耐震設計指針」による地盤別補正係数に従っており、本研究では基盤面加速度に関係なく地盤種毎に一定の係数を決定している。
また、一般的に地震動の規模は震度階で表示されることから、地表面加速度から震度を求めている。震度階級は平成8年10月より適用されている10階級の新震度階を用いている。

 

3.1.3 被害想定

 

被害想定といっても、地震による直接的・間接的被害、短期的・長期的被害、物的または人的・非物的被害など想定しうる対象は多岐におよぶが、ここでは地震による直接的、短期的、物的または人的被害を想定の対象としている。
定義した被害想定に限定してもなお対象は.地震動による破壊、液状化、土砂崩壊などの危険予測に始まり、人的または物的な被害が想定されるようにその範囲は広い。今後、本システムの機能拡張に伴いこうした被害想定の対象を広げていくことが課題となるが、本システムにおいては特に建物倒壊を想定の対象する。
地震動による建物倒壊は、地震波による直接的な倒壊、液状化に伴う建物の倒壊などが知られているが。ここでは、地表面加速度からみた建物の倒壊率を算出している。
建物倒壊率は地表面加速度に対して正規分布すると考えられており、分布の平均震度や分散は望月(1977)により求められている。本システムでは望月による値をディフオルト値として設定しているが、建築年代の違いによる耐震強度の違いから、現実とのズレが生じることが予測されるため、再設定を可能としている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION