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2.2.3 行政地区
地形分類図や地盤分類図は、防災アセスメントの実施(地域の災害危険性の把握)と地区別防災カルテの作成に供するために作成されるものであり、地質的に防災上の危険性を把握するものである。一方で被害想定では、人やもの、機能の被害が想定の対象となり、これらの集積を把握しておく必要がある。行政区データは被害想定の対象を行政区分別に集計したものである。
被害想定をおこなう場合は、想定結果が地域防災計画へ有効に反映できるような単位での想定が望ましく、市町村では詳細に区分された地区データが必要である。一方でデータの入手の容易さ、対象となる項目データの有無も重要な要素となる。
市町村が有するデータは、住民票のように住民個々のデータまで細分化することが可能であるが、被害想定の主旨を考えると、ある程度地区単位に集計されたデータを使用することが妥当と考えられる。そこで、本調査研究では一般に整備され、かつ詳細に集計された町丁目区分とそのデータを行政地区区分として使用する。
町丁目別に集計したデータの項目は、人口と世帯数である。人口は死者やけが人、避難者数の想定など被害想定の対象の中でも最も重要な項目の1つである。また、ものや機能の集積を測る尺度ともなりうる。世帯数も人口同様に重要な項目である。
特に本調査研究では世帯数は建物数の近似値として扱っている。これは、航空写真判読では住居と廃虚、物置等の識別が分かり難いこともあり被害想定の対象となる建物数が把握されていないことが多いからである。本調査研究では被害想定項目として建物倒壊率を設定しており、建物倒壊数を求めるには、倒壊率と地区内の建物数の積を行えばよい。このときに建物数の変わりに世帯数で算定をおこなう。なお、世帯数は個建てや集合住宅の区別はおこなっていない。
被害想定の対象項目として、建物数(木造、非木造)、道路延長、ライフライン延長(ガス・水道・電気)や特殊施設(発電所・コンビナート)など把握する必要のあるデータがあるが、本システムでは先の2項目とし、残りは今後に整備すべき課題とした。
本調査研究に使用した行政区データの境界は図2−6に示すとおりであり、行政データの1次ポリゴンとして使用し、各ポリゴンは人口と世帯数を属性データとして持つ。

 

 

 

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