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(2) システムによる計画策定業務への支援のあり方
地域防災計画の策定業務は、市町村の防災主管部課の担当者を中心に行われる。平常時及び災害時を含め、地域防災計画に関係する組織や事業、災害対策の種類や内容は、極めて広範囲にまたがることが多いにもかかわらず、実質的な計画策定の実施体制は防災主管課の担当任せであり、計画改訂のノウハウも蓄積されにくく、実効性のある計画を策定する条件に乏しいケースが多い。
このような状況のもとで、計画策定業務を効果的に支援するには、(1)の市町村における計画策定上の様々な問題点に対応できるよう、各段階の作業への支援情報を的確に提供できるシステムとするよう留意する必要がある。
システムによる計画策定業務への具体的な支援事例を、以下に例示する。

 

ア 策定・改訂方針の検討への支援
どのような計画を策定するかの基本方針の検討・決定を支援できるよう、計画編成方法の類型や編成方針の判断事項に係るメニューを提示する。
イ 計画の基本構成の編成方法の検討への支援
市町村の地域特性に応じて必然的に登載すべき計画項目や目次構成のプロトタイプ(ひな型)を提示する。あるいは、同じ規模・地域特性の市町村ではどのような策定事例があるか参照できるデータを提示する。
ウ 事務分掌の検討への支援
市町村部局間(県・関係機関含む)の効果的な役割分担の方法を提示する。
エ 個別計画(施設整備計画、動員計画。情報通信計画等)の策定への支援地域の災害特性や被災経験をふまえた実戦的な計画事例を提示する。
オ 計画への搭載すべき資料の内容と掲載方法検討への支援
必要資料の内容と掲載方法(本文中又は資料編への搭載)を提示する。

 

(3) 検索機能を重視したシステム開発の実施
このように地域防災計画策定業務の作業過程において必要となる支援は様々だが、ここでは、最初から新規計画の文案や搭載資料を提示するのではなく、新規計画の策定方針や計画編成を検討する段階、目次構成を検討する段階、個別計画を立案する段階など、計画策定業務の流れに沿って必要となる参照事例を検索できるシステムを開発することを重視する(図1.3.2参照)。
これは、これまでの各市町村の計画の編成形態や目次構成等には参考となる計画項目の要素が多数盛り込まれており、また、これらを検索できるシステムを構築することは、最終的には、計画策定支援システムの基礎データを整備することを意味するため、各段階の計画策定作業に応じて、他市町村の計画事例を検索・抽出・比較・参照できるシステムの開発をまず最初に手掛けるものとする。
(2)で示した、計画策定業務の現状や利用・運用イメージに照らして、システムに求められる基本機能及び要件を以下に整理する。
ア 地域防災計画の基本的な構成方法や必須の計画項目の提示
地域防災計画の策定・改訂に携わる防災担当者が、計画の基本的な編成方法

 

 

 

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