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(3) 本事業で開発した試作装置は、概念的には、従来の通票閉そく装置のタブレットを車内に表示したものである。このマンマシンインターフェイス、すなわち、乗務員に対する情報内容・表示方法および表示器の安全性、信頼性については、十分な検討をしていないので、今後の課題とする。
(4) 本事業で開発したIDプレートは、西武鉄道の401系電車で現地試験を実施し、良好な結果が得られたが、車両の形式による取付位置の影響や現地に設置した場合の雪・雨の影響について、今後さらに長期のフィールドテストを行う必要がある。

 

1.4 開発の効用

本事業で開発した誤出発防止装置及び単線閉そく装置は、信号機や軌道回路を使わないことや、車上のブレーキ機構の改修が要らないことから、廉価に設備を構築でき、経営基盤の弱いローカル鉄道の事故防止にとって、大いに有効に活用されるものと期待される。
(1) 事故防止と旅客安全
単線区間における列車衝突事故の原因は、出発停止信号の誤認によるものが大半である。誤出発防止装置の開発により、列車運行と旅客輸送の安全性を高め、運転事故の防止効果が大である。
(2) 緊急性
事故防止上と閉そく装置の更新の時期からローカル鉄道では廉価な信頼性の高い装置の早急な開発が望まれているものである。
(3) 実用性
特に誤出発防止装置は、車上設備の改修の要素も少なく、また、その効果も大きことから実用化の期待がもたれる。なお、誤出発防止装置は、現行のATSとの併用により一層の保安度向上が期待できる。
本事業で開発した単線閉そく装置を、それぞれの線区に対応してこれをベースに保安度の高い単線閉そく装置に利用できる。
(4) 経済性
単線閉そく装置は、保守に手数の掛かる軌道回路や信号機がないこと、連動論理を集中管理するために設置後の保守費が削減できるので経済的効果は大きい。誤出発防止装置は、主幹制御器のノッチ回路の変更だけですむので、信号設備やブレーキ機構を改造するATSと比較して数分の一の費用で導入できる経済的な効果は大きい。

 

 

 

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