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油津の町並みと堀川運河

 事業名 観光資源の調査及び保護思想の普及高揚
 団体名 日本観光振興協会 注目度注目度5


 

第3節 町の景観

 

【景観のとらえ方】
都市景観のとらえ方は、先ずそれを広く、全体的にとらえることが必要である。
ここ油津は、日南海岸国定公園の中の自然美の豊かな天然の良港として発展して来た港であり、また、飫肥城下町につながる浦町として、すぐれた藩主の指導とによる、専売事業の育成、参勤交代の負担を逆手に把った海運業の発展など、自然と人間の知恵の調和によって成り立っていると考えるべきである。
また、細部の内容については、1686年五代藩主伊東祐実による堀川運河をはじめ、明治36年(1903)吾平津神社前に飫肥の石土・石井文吉による「乙姫橋」こと「堀川橋」とその大島御影石欄干、堀川河岸に残る荷揚船の用に供された石段が下流に向けて開いている貴重な遺蹟の残る、油津港・堀川運河の景観である。
その昔、この運河には東西両岸に沿って、チヨロ舟と呼ばれた帆掛舟がずらりと並んでおり、この舟は棚板構造の大和舟の形式をとどめる漁船で、油津沖で間切り漁に活躍したが、のちに近代化によるエンジン付小型船に変わってしまった。
木材市場や、廻船問屋、まぐろの大漁景気などによってにぎわった商家や民家の2層、3層木造町屋や蔵の景観もすぐれた工夫が残っており、これらの構成による町並み上町、仲町、下町にそれぞれの風情のある曲線街路や辻の地蔵祠があり、大事に利用されている。
そのために老朽化した無用の施設は補修し、再利用して活用する心掛への援助が必要であり、そのように細部のとらえ方はその現状が良いか、悪いか、どう改善すれば良いかの、評価と対策の判断が大切である。
その結果、一般的水準の質の高揚、個性的質の多様化をすすめたい。そして、その価値を行かすための方法と努力の積重ねを期待する。
<引用文献>
・「油津堀川余聞」日南市文化財保存調査委員 細川隆介
・「日南史」1977。日南市央編纂委員会
・「油津−海と光と風と−」日南市産業活性化委員会

 

【景観の構成】
対象地区は全体の中の運河と海岸線と街路と山手に囲まれた、油津一丁目、二丁目の中心地街地の一部でそう広くはない、人間的スケールの空間である。
その中で大きな要素は堀川運河なので、その運河を廻る景観を重視したい。廻りの山手や建物の高さはそう高くないので、天高くひらけた景観で強い圧迫感はない、静かな温和な感じである。運河に架かる橋は運河と陸の接続するもので視界の遠く広い対岸の景観は一体的にまとまりとしかとらえられず、線と建物は少ないながらなだらかな曲線で構成している。細部に変化が運行しつつあるが、強烈な印象を与える新しい施設はなく、静かで清潔な町のいとなみがただよっている。
将来の開発方面として東港、西港の大型港湾、大型船の碇泊等も考えられるが、位置はかなり遠いので景観の破壊要因とは考えられない。
年間行事として7月20日の週の土・日の「油津港まつり」や「いかだ流し(年12回)」の復活などは、地区の昔をしのばせる良い機会となろう。地区住民の協力と発想に期待したい。ランドマークとして新しいものにサンプラザ天照閣ホテルが目立つが、これは外来者の拠点として位置づけたい。また吾平津神社の鳥居や、潮満寺の納骨堂が、緑の中に目に付く標的となっているが、地区の位置の確認に役立っている。市街地内部には、屋号の知られた商店や、民家があり、独特の構えはそれなりの個性と秩序があって良い市街地景観の要素となっており、これからも大切に保存したい。また一寸した生垣や花壇が住民の温かさをつたえている。
小さな街句なのに、街路名や街区名が明確でないようだが、これは住民の総意で明確なものにしたい。特に上町通り、仲町通り、下町通り、海岸通り、堀川運河左岸・右岸、本町通り(バス通)等々である。
電柱、標識、看板などの新しい施設は出来るだけ整理して昔の落ち着いた雰囲気を総括的に残したい。そして住民の地区に対する愛着心と誇りを高めたい。

 

油津堀川会見の要素:日向灘にそそぐ堀川運河の油津港
自然景観要素:広い堀川運河の豊かな水量、山手の線、明るい天空
人工景観要素:低い2層3層の町街、緑の中の社寺、空間を結ぶ橋渠
自然にさからはぬ、日常生活、道路の曲線、空地利用、石の組立、誇りある住民、たゆまぬ努力が最良の文化財保護対策。
上流の接迫感、下流の開施感、両岸をつなぐ橋、下流の漁港、材木置場、交通施設、避難港、海への開放感。

 

 

 

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