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高齢夫婦や、ホームヘルパーの介助を1週間に3回受けて、元気に自活されている高齢単身者の生活を拝見したが、高齢者の居住基盤となる住環境の整備と、そこで展開される生活を支える福祉支援サービスの充実という、両面からの課題が、これからの油津の町の生活問題として、大きな位置を占めると考えられる。
さらに、地域文化にいかに根ざすかということも町づくりの大きな要件であろう。地域の風土・文化に根ざさない町づくりはあり得ないし、油津の町への愛着なしには成立しない課題である。住まい方調査からも、油津の町や町並みや堀川に対する愛着と誇りとが読みとられたが、それをどのように、今後の町づくりに活かしていけるか、また、町や堀川や町並みの良さを、どこに求め、理解し、それを受け継ぎ、伝え、新しいものを創造していくか、という大きなテーマがある。安全で、高齢者に篤く、地域の風土・文化に根ざした特色ある町づくりに向けて努力していくことによって、「油津のこの家で、私達の代は暮らしていきます。」という高齢期・向老期の人達を、無理なく、気持ちよく支えるとともに、次の若い世代を惹きつけ、新しい可能性を創出していく、創造力をも蓄えることができるのではないだろうか。

 

 

 

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