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(1)油津の社寺と石仏と祭り
油津の町を歩くと数多くの宗教的建造物に出会う。神社や寺院をはじめ、地域の氏神さまをお祀りしたお社や叢祠、お薬師さまや龍神さまをお祀りしたお堂など今も大切にお祀りされている。
道の辻には“お地蔵さま”が安置され、毎日お花やお線香が供えられ、昔から続いている伝統的な祭りも、地元の人々によって今も大切に守り続けられてきている。特に旧油津の下西地区には、戦前「地蔵区」と呼ばれた一角があり、そこにはたくさんのお地蔵さまが祀られており、特に100年前に建てられた背高6尺近いお地蔵さまは“安産と子育ての仏さま”として地区住民から大切にされ、夏には盛大に“地蔵まつり”が行われている。
(地図※)
古い記録(日向地誌−平部嬌南著)によると明治以前油津には永興寺・應観寺・建法寺・林光寺・天福寺・正行寺があったと記録されているが、現在は油津港を見下ろす高台に潮満寺・正行寺・歓楽寺が建ち、堀川橋近くに乙姫神社が祀られている。

 

(2)油津のお寺と神社とお堂と叢祠
?潮満寺
(高野山真言宗・御本尊は波切不動尊。地図?)
江戸時代初期、寛永4年(1627)に飫肥願成就寺住職の隠居寺として、鶴ヶ峰東端の丘陵地に“長満寺”として再興されるが明治元年廃仏毀釈にて廃寺となる。明治41年(1908)大師堂を建立。大正5年(1916)現在地に移転、昭和9年(1934)本堂再建し、“潮満寺”と改称、現在に至る。
お寺の上方に赤く輝くお堂は、福徳賦与の神さま“弁財天”をお祀りしてある”弁財堂”で、昭和44年(1969)に再々建。400年の歴史を有していると伝えられている。

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写真257 潮満寺

本堂裏の山手に100数十体の“お大師さまやお地蔵さま”が安置されており、今も熱心な信者の方がおまいりされている。
また、九州八十八ヶ所霊場の三十九番札所と九州不動霊場十三場札所としても有名で、九州内外からたくさんの参詣者がある。

 

?正行寺
(浄土宗・御本尊は阿弥陀如来。地図?)

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写真258 正行寺

通称“東の寺”「慶長の頃(1596−1615)荒木五郎兵衛という者創建せし所也」という。明治元年廃仏毀釈の後、明治14年(1881)に再興。油津港を一望に見おろす境内地に昭和35年本堂を再建し、以後観音堂・納骨堂・庫裡を建て現在に至る。観音堂には“千手観音”が祀られている。

 

?歓楽寺
(浄土真宗本願寺派・御本尊は阿弥陀如来。地図?)
通称“西の寺”歓楽寺はもと南那珂郡北郷内の田にあったが、明治40年(1907)に現在地に本堂を建立し、以後本堂・庫裡を再築し現在に至る。本堂脇に聖観音が祀られている。

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写真259 歓楽寺

 

 

 

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