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はしがき
白馬村は、来る1997年2月におこなわれる長野冬季オリンピックの会場になります。村はその準備で大変に忙しい日々を送っています。それだけに村はいま活気づいているようにみえます。今回、集落と民家の調査対象となった青鬼集落は、オリンピックの会場からみると、姫川の東対岸の山腹にあります。この集落からオリンピックのジャンプ台がよく見えます。白馬連峰の麓になる姫川の西側の地区は、近代になると登山の基地として、また、最近は夏は登山、冬はスキーで大変に賑わっています。この地区は人口も増えています。これに対して青鬼集落がある姫川の右岸の集落は、観光客も少なく、著しい過疎地になっています。JR大糸繰白馬駅から、わずか5キロメートルの距離のところにあるにもかかわらずです。
青鬼は小さな山間の集落です。多い時でも24戸ほど、いまでは15戸の茅葺きの家があります。常時は住んでいない家が2、3あります。これらの家もお盆などには先祖供養にやって来ます。常時は住んでいなくても空家ではないのです、冬季には村の中心部に降りて行く家もあります、青鬼で越冬する家はごく少数です。この集落への道は、積雪時には除雪しますから、冬季でもどこえでも行けるはずですが、実際は何人かは山から降りてしまうのです。ここで厳しい冬を過ごすのが億劫なのでしょう。子どもの学校のことが一番気になるとのことです。
春から夏、そして秋まではとても快適です。この期間には、山から降りた人達も田畑を耕し作物を作り、収穫にくるのです。茅葺き屋根の家、今は鉄板が被せてあるとはいえ、その村並み、それを取り囲む歴史的環境に大きな魅力があります。
青鬼の方々は、茅葺きの集落をどう保存するかと、熱心に考えています。集落・町並み保存をすでに実施している先進地の見学のしています。わたくしは、この青鬼の集落保存を長野冬季オリンピッ

 

 

 

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