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序章 調査の目的とねらい



(1)調査の目的

 舞鶴市は京都府の北部に位置し、歴史的に城下町として発展した西地区と軍港として発展した東地区の複眼都市を形成している。東地区を中心として点在する赤煉瓦建造物群は、全国屈指の質と量を誇っており、市においてもそのうち2棟を転活用する等保存・活用を進めている。しかしながら、赤煉瓦建造物の本格的調査は実施されておらず、また転活用されていない現存物件の多くは市以外の所有となっており、今後の保存・活用の前途が危惧されている。
 一方、「赤煉瓦ジャズ祭」のイベントや市民レベルの保存・活用の運動は活発化しており、今後のまちづくりの童要な一翼を担うぺき役割をもっている。また、市民レベルにおける既存調査など多くの蓄積をもっており、本調査ではそれを再整理するとともに、現状の把握と一部詳細調査により、建築学的にみた評価を明らかにする。それとともに歴史資料とのつき合わせによって歴史的位置づけを、広域約あるいは地区的にみた環境の中における位置づけも加え、総合的にみた舞衝赤煉瓦建造物の評価を行うことを目的とする。

(2)ねらい

・建造物の実態調査が主たる調査になるが、それにとどまらず歴史や地域の中で位置づけを明らかにする総合的な調査をめざす。
・今回の調査において全ての建造物の詳細な調査を行うことは不可能であるので、今後の調査・検討につなげていくことをねらいとする。
・建造物の評価は、その建築学的な位置づけや歴史的な位置づけを基礎とするものであるが、杜会的側面やまちづくりに対する位置づけも無視できない。特に近代化遺産については、今後の保存・活用の方向性が模索されている段階であるので、本調査を一つのモデルケースとしてとらえ、そのあり方の一提言ともする。
・もちろん、舞鶴市における赤煉瓦建造物群の保存と活用についてまちづくりという観点から基本方向のあり方を幅広く検討する。

(3)調査の体制

 舞鶴赤煉瓦建造物群訓査は調査委員会を組織し、委員会での議論や赤煉瓦建造物視察調査等を通じて調査の取りまとめを行った。実施調査は、赤煉瓦建造物モデル調査を京都工芸繊維大学日向研究室があたり、赤煉瓦建造物調査台帳の基礎調査を調査事務局が担当した。

(4)調査の記録

  第1回 調査委員会
  (平成8年8月5日)
    ・調査計画について
    ・調査の課題について

  第2回 調査委員会
  (平成8年10月26日)
    ・赤煉瓦建造物調査台帳について
    ・モデル調査について

  赤煉瓦建造物視察
  (平成8年11月28日・29日)
    ・北吸配水池
    ・葦谷砲台跡
    ・目立造船
    ・海上自衛隊舞鶴地方総監部
    ・神崎煉瓦ホフマン式輪窯

  赤煉瓦建造物モデル調査
  (平成8年11月28日・29日)
    ・北吸配水池
    ・神崎煉瓦ホフマン式輪窯

 

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