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従って、このようなニーズを充足するためには、コンピュータ・ネットワークによる情報の収集と伝達が必要である。中央省庁間ではいわゆる霞が関LANが整備されたが、各管区行政監察局所在地、あるいは各行政監察事務所所在地における、防災及び大規模災害対応のための共通情報伝達を行うネットワークの整備が重要である。できうれば、これは必ずしも公共機関だけでなく、マスコミ・地域の重要な企業・様々な民間団体なども含めて、実際に機能するネットワークを構築することが望ましい。そのような整備がむずかしいなら、兵庫ニューメディア推進協議会が行った報告のように、防災関係機関インターネットを作り、その中に行政情報、マスコミ情報、ライフライン復旧状況など、最新の情報をプールし、情報を公開することが望ましい。
また、行政監察事務所等と出先の特別行政相談所の間の連絡体制の整備が問題である。できうれば、FAX、パソコン通信、あるいはインターネット等により、電話回線がふくそうしていても、的確な情報をすぐに入手できるように、FAXやパソコンを配置しておき、いつでも使える状態でセットしておくことも重要である。

 

迅速かつ的確な情報の収集と伝達の在り方を考える際、忘れてはならないのは、ラジオ・テレビ・新聞等のマスコミや、電力会社・ガス会社・電話会社・鉄道会社・金融機関など民間のライフライン企業との連携の重要性である。
日頃は行政とマスコミとの関係は、必ずしも良好であるとはいえない場合もあるが、やはり大規模災害時においては、日頃のわだかまりを棚上げして、協力して被災者への必要な情報を送る努力と、正確な情報と不正確な情報の識別を協力して行い、極力間違った情報を公表しないように努めることが肝要である。
また、情報提供に関して、ライフライン企業との連携も極めて重要である。被災者からすれば、電気・ガス・水道がいつから使えるようになるのか、また鉄道がいつどこまで復旧するのか、さらにどの金融機関が営業しているのかなどは、極めて重要な情報である。従ってこれらの情報を含まない情報提供では不十分であるといわざるをえない。
いずれにしても、その情報を必要としている市民に的確にその情報を伝えるための努力を惜しまずに、どうすればそれができるかを考えて、全体のネットワークを構築し、特定の機関の利害や縄張り争いの場としないことが重要である。

 

イ.時間の経過とともに変化する相談傾向の的確な把握
災害の直後と、たとえば一週間後、あるいは一月後、さらに半年後、また一年後と時間の経過についれて、相談の傾向は、当然当面の短期間な問題から、長期的なあ問題が中心へと様変わりしていく。そのような変化に担当職員は十分な注意を払い、迅速に新たなニーズに対応して、新しい行政施策の内容や、手続きの仕方、あるいは様々な日程など、的確かつ明快な回答ができるように十分に準備しておくことが肝要である。

 

 

 

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