日本財団 図書館


 

常に注意しておかなければいけないことは、行政の担当機関が、これは国(さらに何々省であるか)、都道府県、あるいは市町村であるかは、行政側の勝手な都合によって区分けされているのであって、市民のニーズに必ずしも合わせられているわけではないということである。従って市民の側からすれば、なるべく手近かですべてが解決されることが望ましいのだということを、考慮に入れておく必要がある。従って国・都道府県・市町村、さらには特殊法人等、さまざまな関係への相談が、一箇所ですむのかすまないのかということは大変重要である。できるだけ一箇所で、しかも待たずに短時間の内に問題解決の糸口をつけることが望ましいことは、いくら強調しても過ぎることはなかろう。
この見地からも、行政側がいわば御用聞きや出前をする形で、市民の要望を聞きに行き、その場で問題解決の糸口を見付けることは、行政への信頼を回復し補強するためにも必要であり、そのための予算や労力を惜しんではいけないということである。
改訂された兵庫県地域防災計画では、災害情報等の提供と相談活動の実施について、県、市町は、情報の一元化、情報管理の徹底を図ることとし、災害情報の報道機関への提供や災害放送協定に基づく緊急放送の要請のほか、掲示板、広報紙、パソコン、ファクシミリなど多様な媒体を通じて、住民への広報活動に努める。その際、特に県外への避難者や障害者・高齢者等災害弱者、外国人への情報提供についても留意する、また県、市町は、災害発生時に、通常の住民相談窓口に加え、災害関連総合相談窓口等を設置すると規定された。
また明石市地域防災計画地震対策編では、被災者相談センターを設置して、宅地建物、災害廃棄物、ライフライン、医療・健康・税・貸付金等に関する総合相談窓口を設置し、被災者の支援を行うと規定された。

 

(2)災害関連情報の収集と伝達の在り方

 

ア.迅速かつ的確な情報の収集と伝達の在り方
災害関連情報の収集については、まず迅速かつ的確な情報の収集を心掛けることが肝要であり、また同時に体系的な情報収集・整理が必要である。従ってあらかじめどのような体系のもとに情報を整理するのか、共通のファイリング・システムを整備し、臨時の手伝いの職員でも、いつでも正確に情報が把握できるようになっていることが理想である。
また、どこにどのような情報があるのか、普段から理解しておき、見当外れの無駄な時間を費やさずに、必要最小時間で求める情報を入手できるように努めることが望ましい。
なお、市民に必要な情報を提供するのは当然であるが、そこで誰が本当に必要なのかを考えずに、ただ情報の垂れ流しを行うだけではなんにもならないということである。どうすれば情報を必要な市民に伝えることができるのか、非常時であればある程考えなければいけないであろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION