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1.5.8.3 適合証書等

液体化学薬品ばら積船及び液化ガスばら積船のうち国際航海に従事するものは、適合証書を受有しなければならず、これは「海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令」に規定されている。具体的には、1986年7月1日以降に建造された液体化学薬品ばら積船は、「国際液体化学薬品ばら積船適合証書」、液化ガスばら積船は、「国際液化ガスばら積船適合証書」を1986年7月1日から、また、1986年7月1日前に建造された有害液体物質(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令別表第一に掲げるA類物質等、B類物質等又はC類物質等に該当するものに限る。)である液体化学薬品を運送する液体化学薬品ばら積船は、「液体化学薬品ばら積船適合証書」、液化ガス物質を運送する液化ガスばら積船は、「液化ガスばら積船適合証書」を1987年4月6日から受有しなければならないことになっている。

 

1.5.9 放射性物質等の運送基準について

放射性物質等の船舶運送に係る規定は、国際原子力機関において策定された国際勧告である1985年版IAEA輸送規則を国内規則へ取り入れる方針を定めた原子力安全委員会決定「IAEA放射性物質安全輸送規則(1985年版)の国内規則への取り入れについて」を踏まえ作られており、危規則本文とそれを受けた告示「船舶による放射性物質等の運送基準の細目等を定める告示」等により詳細に定められている。

危規則の放射性物質等に関する規制は、放射線障害の防止、核分裂性物質の臨界防止及び核物質の盗取等の防止を目的としているが、その特色は、

? 技術基準が放射性輸送物(放射性物質等を輸送容器に収納したものをいう。)ごとに定められている。

? 当該基準を大別すれば、放射性輸送物そのものに関するものと、放射性輸送物の運送方法に関するものとに分けることができる。後者については、陸海空のモード毎にそれぞれの特色を反映した基準が定められているものの、前者については航空輸送の一部の基準を除き、各モードでほぼ斉一化されている。

? 特に危険性の高い放射性輸送物を運送する場合は、各規制官庁により法令への適合性についての確認を受けなければならないこととなっており、危規則においても運輸大臣等による安全確認として規定されている。

1.5.9.1 放射性輸送物の技術基準

放射性輸送物は、収納されている放射能量又は放射能濃度により、L型輸送物、A型輸送物、B型輸送物(BM型輸送物、BU型輸送物)又はIP型輸送物(IP−1型輸送物、IP−2型輸送物、IP−3型輸送物)に分けられ、それぞれの有する危険性に応じて放射性輸送物としての技術基準が定められている。さらに、ウラン、プルトニウム等のように核分裂を起こす可能性のある物質を一定量以上収納したものを運送する場合には、輸送中に核分裂を起こさないようにするための核分裂性輸送物としての技術基準も適用される。また、特定の核燃料物質が収納されている放射性輸送物に対しては、盗取の防止等核物質防護対策が要求される。なお、危規則第91条の9第1項の規定により、B型輸送物、核分裂性輸送物又は特に高い核物質防護対策が要求される放射性輸送物については、船積み前に、当該輸送物が危規則の基準に適合していることについて、運輸大臣又は地方運輸局長による放射性輸送物の基準適合性の確認を受けなければならない。

 

 

 

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