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1.5.8 危険物のばら積み運送

船舶による貨物の運送方法には大別して「個品運送」と「ばら積み運送」との二種類がある。危規則においても、危険物の運送について個品運送とばら積み運送とに分けて規定している。特に液体危険物については個品運送とは明確に区分してその運送要件を定めている。危険物のばら積み運送については、以下にその概略を述べる。

1.5.8.1 固体危険物のばら積み運送

(1) 固体危険物のばら積み運送は、告示別表第13に掲げる危険物を旅客船以外の船舶に規定された積載の方法による場合に限って許される。この場合、危険物をばら積みする場所は、積載前に清掃し、同一の船倉又は区画に同一品名のもののみを積載しなければならない。また、個品運送する危険物との隔離は、告示別表第14の2によらなければならない。

(2) 告示別表第13の2に掲げる固体危険物に限り、非開放型の構造を有する金属製コンテナにばら積みして運送することができる。

1.5.8.2 液体危険物のばら積み運送

従来、危険物のばら積み運送は、危規則第6条に基づく個品運送の例外的な運送形態として規定されていたが、ばら積船の構造、設備等に関する国際的な基準(IMOのIGC コード及びIBC コード)が確立したことにより、これらコードを危規則に取り入れ、ばら積み運送の規定を個品運送の規定から独立させた。「ばら積み液体危険物」は、ばら積みして運送される液体の物質であって、その性状により液化ガス物質、液体化学薬品、引火性液体物質及び有害性液体物質の4種類に大別される。以下危規則において規定されている、危険物をばら積み運送する船舶の構造及び設備要件についての概略を述べる。

(1) 液化ガス物質

液化ガス物質は、摂氏37.8度で0.28メガパスカル(絶対圧力)を超えるガス圧力をもつ液体及びこれに類似する性状を有する液体であって、告示で定めるものをいう。具体的な規定は次のとおりである。

? 貨物タンクの他の区域からの隔離、配置等の制限

? 排水設備の配管系に対する要件

? 貨物区域等の消防設備

? 貨物タンクの構造等に係る要件

? 貨物に係る管装置の各種要件

? 貨物取扱い区域に係る通風装置の備え付

? 貨物に対する圧力及び温度制御装置の備え付

? 貨物タンク等の通気装置の備え付及び装置の要件

? 計測装置及びガス検知装置

? 貨物タンク及び貨物に係る管装置の環境制御の実施

? 貨物を燃料として使用するための設備等

? 充てん限度による積載貨物量の制限

? 引火性の貨物に対する電気設備の制限

? 安全保護装具等の備え付及びその要件

? 損傷時における復原性の確保

? 作業要件について

 

 

 

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