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ただし、アフリカではそのアンメット・ニーズ自身がそんなに大きくないという報告がある。サハラ以南アフリカのうち、人口保健調査 Demographic Health Surveyを最近行った20の国で、家族計画を実行したいと希望している夫婦(実行している夫婦も含めて)の比率は平均44%にすぎない。これは東アジアを除いたアジア8ヵ国の平均67%に比べるとかなり低い。サハラ以南アフリカのアンメット・ニーズは29%であり、それ自身高いが、しかしこれが充足しても、いぜん過半数の夫婦は家族計画に無知であり、実行意欲に乏しいのである。やはり、アフリカの出生率が国連の中位推計の筋書き通りに、2020年代に3.34、2040年代に2.10へと低下するためには、単にアンメット・ニーズの充足という供給サイドの働き掛けだけでなく、家族計画ニーズの掘り起こしという需要サイドの普及活動をもっと広範囲に、しかも周密に展開する必要があるであろう。

 

4 世界人口の超長期推計

 

国連人口部は1992年に2150年までの主要地域別・巨大国(中国とインド)別世界人口の超長期推計を発表している(表4)。この推計は表1、2、に示された推計より以前の1990年世界人口推計をべースにしているので、それに示されている数字と若干異なっているところもあるが、大勢は変らない。表4はその中で、異なった出生率変化の仮定による七つの種類の推計を示す。中位推計は一番出生率低下の遅れているアフリカが2045〜50年までに合計特殊出生率が2.04に低下すると仮定しているのに対し、中/高位推計は2095−2100年にようやく2.17にまで低下すると仮定している。一方、高位推計はアフリカが2045−50年までに2.50に低下するとし、中/低位は2095−2100年までに1.96に低下すると仮定している。低位推計は、2035−40年までに1.70に低下すると仮定している。
ここで注目されるのは、中位、中/高位、高位推計、純再生産率NRRが一據に1.0、すなわち人口置き換え水準に低下すると仮定された推計、そして1990年出生率一定推計である。

 

 

 

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