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■事業の内容

わが国は、近年国際社会における責任を果たすため、発展途上国に対する経済・技術協力の拡充が図られているところであり、海上保安分野においても海難救助、水路航路標識関係で逐次実績を積み重ねてきているが、今後さらに充実を図るためには、事前に発展途上国の現状及び要望を把握し、基礎資料の充実を図る必要がある。特に最近、地球環境問題が世界的に大きな関心を呼び、環境分野での協力が課題となっているため、海上防災、海洋汚染防止等の海上保安の分野における発展途上国の現状を把握し、今後の協力に役立てることが必要と思料される。また、新海洋法秩序の形成SAR条約の発効等海上保安の分野における国際協力のフレームワーク造りが活発化してきており、隣接国をはじめ関係諸国との情報交換、相互協力の重要性が高まっている。したがって、これらに的確に対応するためには、我が国の海上保安業務を広く海外に周知するとともに、国内的にも理解を得る必要がある。このため、次の諸事業を実施した。
[1] 国際関係経済協力基礎調査
a.調査対象国及び日程  ベトナム   1月 7日〜1月13日
             ミャンマー  1月14日〜1月19日
b.調査内容   海上保安業務を担当する国家機関と、その設備及び装備。
海上警備及び海難救助の体制、海上交通安全確保、海上災害防止
航路標識の維持運用、教育訓練等。
c.訪 問 先  ミャンマー  ミャンマー港湾局、運輸省水路局・海事局、蓄水産省水産局
 ベトナム   科学技術環境省技術開発局、運輸省海運総局、海上保安庁、海運総局、海上保安庁ホーチミン支局
d.調査報告書A−4判  120頁  200部
e.配 布 先  海上保安庁及びその出先機関並びに他の関係機関。
[2] 海上保安に関する国内外の情報提供
a.規 格  B−5判  68頁×2回
b.部 数  各500部
c.内 容  内外の海上保安業務関係資料及び情報。
d.配布先  海上保安庁及びその出先機関並びに内外の関係者。
[3] 近隣諸国海上保安体制調査
a.調査対象国及び日程  韓国 ソウル、仁川 11月13日〜11月19日
釜山        11月20日〜11月23日
b.調査内容       海上保安体制並びに関係資料の収集
c.訪問先        ソウル、仁川  建設交通部水路局、情報通信部電波放送監理局
釜山      釜山海洋警察署、釜山地方海運港湾庁、韓国海洋大学校、韓国海技研修学院、海洋警察庁特殊救難団
d.調査報告書      A−4判 112頁 200部
e.配 布 先      海上保安関係機関その他の関係機関。
[4] 海外の海上保安事情に関する講演会の開催
a.形   式   講演会及び意見交換会の開催。
舞鶴地区  平成7年 9月22日 海上保安協会舞鶴地方本部
新潟地区  平成7年11月27日 海上保安協会新潟地方本部
b.聴 講 者   管内の海上保安関係者。
c.報 告 書
(a)規 格   A−4判  64頁
(b)数 量   730部
(c)配布先   海上保安庁及びその出先機関等。
■事業の成果

[1] 国際関係経済協力基礎調査
 近年特に発展途上国に対する経済、技術協力の量的、質的な拡充を図ることが国際的に要請されており、海上保安分野でも、海難救助、水路、航路標識関係で逐次実績を積み重ねてきているが、今後更に国際協力の充実を図るためには、事前に開発途上国の現状及び要望を把握し、基礎資料を作成するため現地調査を行い、国際協力を効率的に進める必要がある。
 本事業においては、これらの現状をふまえ海上保安庁の指導のもとにミャンマー及びベトナムに調査員を派遣し、同国の関係者に我が国の海上保安業務の現状を紹介するとともに、直接情報交換を行ったほか港湾施設等の現地調査を行い、貴重な資料を入手できたことは、極めて有恩義であった。これらの調査結果は、報告書として取りまとめるとともに、本事業を実施している定期刊行物(コンパス2号)にも掲載し、海上保安機関その他関係者に配布し周知した。このことは、今後の国際協力の推進に大きく寄与するものと思料される。
[2] 海上保安に関する国内外の情報提供
 最近における我が国の海上保安業務の国際化に対応し、円滑な業務の推進を図るため、内外の海上保安関係資料及び処理に当たっている巡視船艇を含めた全部署及びその他の関係者に配布した。このことは、国際的な情報誌として、現下の海上保安業務の遂行に大きく寄与するものと思料される。
[3] 隣諸国海上保安体制調査
 最近における我が国の海上保安業務は急激に国際化しつつあるが、平成6年11月に発効した海洋法条約においては、従来に比べ海洋管轄権が地域的に大きく拡大し、質的に変化しており、SAR体制の推進と併せ関係諸国との情報交換等、相互協力の重要性が高まっている。
 本事業においては、これらの現状をふまえ、海上保安庁の指導のもとに韓国に調査員を派遣し、同国の海上保安関係機関の組織と業務の実施状況等の現地調査を行うとともに、関係者と直接情報交換した他、貴重な資料も入手し、極めて有意義であった。
 これらの調査結果は、報告書として取りまとめるとともに、本事業で実施してい定期刊行物(コンパス2号)にも掲載し、海上保安機関その他関係者に配布し周知した。このことは、今後の国際協力の推進にと大きく寄与するものと思料される。
[4] 海外の海上保安事情に関する講習会の開催
 訪日する諸外国の海上保安関係者、在京の海上保安関係アタッシェ等を講師として海外の海上保安事情に関する講演会を開催することにより、関係諸国の海上保安体制の把握に役立つほか、外国船舶への対応並びに諸外国の海上保安機関との接触の機会が増加している海上保安庁職員の国際感覚の涵養と、外国の海上保安関係者との相互理解が図られたことを確信する。
 平成7年度は、当協会の舞鶴地方本部が舞鶴地区(平成7年9月22日)新潟地方本部が新潟地区(平成7年11月27日)において開催した。





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