■事業の内容
(1)国際競争力に関する実態調査及び我が国舶用工業の体質改善に関する調査研究 [1] 委員会の設置 委員長(1名)及び委員(9名)からなる委員会を設置した。 [2] 輸入実績の多いもの、又、今後輸入量が増大すると考えられる製品等の実態調査の方法及び調査事項等について、検討、意見交換を行い、その結果次の3品目、3社について調査することとした。 a.ディーゼル機関 MAN B&W DIESEL杜 b.ポ ン プ KVAERNER EUREKA社 c.電動機、発電機 ABB INDUSTRIETECHNIK杜 [3] 欧州での調査対象会社の概要、日本における調査対象品目の輸出入状況、及び主要3品目の国内主要メーカーに対するヒアリング調査についての結果を基に、現地調査する内容等につき再検討を行った。 その結果、調査対象会社は1品目1社としていたが、ヨーロッパメーカーの傾向をより一層把握するため各品目1〜2社を追加して、3品目7社を調査対象会社とした。 [4] 欧州で調査した会社のヒアリング内容等についての報告を受けて、日本の舶用機器メーカーの国際競争力の方策、また、今後取り組むべき課題について検討を行った。 欧州の調査対象会社は次のとおりである。 a.ディーゼル機関(3社) ・ワルチラ・ディーゼル社(フィンランド) ・ベルゲン社(ノルウェー) ・MAN B&W ホルビー社(デンマーク) b.ポ ン プ(2社) ・クバナーシップス・アンド・イクウィップメント社(ノルウェー) ・フランク・モーン社(ノルウェー) c.電動機、発電機(2社) ・ABB社(フィンランド) ・シーメンス社(ドイツ) [5] 報告書の取りまとめ方法を検討した。 [6] 報告書作成 a.規 格 オフセット印刷 78頁 b.部 数 300部 (2)舶用機器標準化の推進 [1] 機器の標準化 a.対象機器 大型ディーゼル主機関連機器、ディーゼル発電機関連仕様及び甲板機械構成部品 b.作 業 大型ディーゼル主機関の附属機器、艤装、据付け等の標準仕様、ディーゼル発電機関連の艤装、計器類、ケーブルサイズ等の標準仕様、甲板機械構成部品の標準仕様についてとりまとめた。 c.報告書作成 (a)規 格 オフセット印刷 44頁 (b)部 数 300部 [2] SM標準の見直し a.対象機器 ポンプ関係SM標準3規格 b.作 業 最近の技術及び情勢を踏まえて、全面的に見直した。 c.改正版作成 (a)規 格 オフセット印刷 58頁 (b)部 数 300部 [3] SM標準の英訳 a.対象機器 ポンプ要求仕様及び製造仕様書、プロペラ製造仕様書及び検査基準 b.作 業 既制定の対象機器について英訳し、英文版のSM標準を作成した。 c.英文版作成 (a)規 格 オフセット印刷 176頁 (b)部 数 300部
■事業の成果
(1)国際競争力に関する実態調査及び我が国舶用工業の体質改善に関する調査研究 円高が急進するに伴い、製品、部品、原材料の内外価格差が拡大し、我が国舶用工業の国際競争力の低下が指摘され、その経営環境は極めて厳しい情勢下に置かれている。 とりわけ欧州の舶用工業は、90年代に入って円高・欧州通貨安を受けてコスト競争力が回復しているだけでなく、東欧やロシアの低賃金労働、低コスト部材を取り込むことにより、コスト競争力を強化してきており、その結果日本への舶用機器の輸入拡大が懸案課題となっている。 本調査は、“舶用機器メーカーの国際競争力強化の方策”を明らかにすることを目的として実施した。まだ、欧州地域からの輸入に絞り、輸入実績が多い舶用機器及び今後輸入量が増大すると考えられる製品について、その主要企業の生産量、価格等の状況を調査するとともに、我が国の状況との比較を行い、価格差の実態について検討した。次に代表的な舶用機器を取り上げて、製造コストに占める材料費、労務費等のコスト分析を行うことにより、日欧企業間のコスト競争力の比較を行った。更に、欧州企業経営についての実態調査(ケース・スタディ)を実施し、舶用機器メーカーの競争力強化のための方策を講じた。 我が国舶用機器メーカーが、今後とも国際競争力を維持していくためには、この方策に沿って経営基盤を強化していくことが必要と思われる。 このように、これからの厳しい事業環境において、舶用機器メーカーとして生き残りのための指針策定を提示することができたことは、大いに意義があったと確信する。 (2)舶用機器標準化の推進 我が国の舶用工業は最近の造船事情を反映して国際競争力を喪失しつつあり、その経営環境は極めて厳しい情勢下に置かれている。 このような状況のもと我が国舶用機器の国際競争力を回復、強化し、その経営基盤の強化、主産の合理化等を図る観点から、舶用機器の機種の整理、仕様の統一化を図るとともにSM標準(当工業会標準)の見直し及び英文版を作成したもので、今後の国際競争力を高めるための標準化の推進、製品の品質向上、コスト低減等が期待できるものと確信する。
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