■事業の内容
(1)調査研究 [1] 国内主要船社アンケート調査<造船市場の構造分析> 造船市場の構造分析を行うために、国内の主要な船社7社に対して、各国造船メーカーに対する評価を調査した。 [2] 海外主要船社アンケート調査<造船市場の構造分析> 造船市場の構造分析を行うために、海外の主要な船社15社に対して、各国造船メーカーに対する評価を調査した。 [3] 海外主要船社アンケート調査<非価格競争力の分析> 我が国の造船メーカーの非価格競争力を分析するため、海外の主要な船社15社に対して、各国造船メーカーに対する評価を調査した。 [4] 海外主要造船所調査<価格競争力の分析> 我が国の造船メーカーの価格競争力を分析するため、海外の主要な造船所7社に対して、事業内容、経営の実態、事業計画、コスト構造を調査した。 (2)委員会 [1] 本委員会 a.第1回 「造船業の今後のあり方の調査研究委員会」開催 日 時 平成7年6月5日(月)15:30〜17:00 場 所 船舶振興ビル10F会議室 出席者 小山健夫(委員長)他22名 課 題 (a) 平成7年度事業計画書について (b) 平成7年度事業実施計画書(案)について (c) その他 b.第2回 「造船業の今後のあり方の調査研究委員会」開催 日 時 平成7年11月24日(金)14:00〜17:00 場 所 船舶振興ビル10F会議室 出席者 小山健夫(委員長)他24名 課 題 (a) 第1回委員会議事要旨の確認 (b) 新造船建造需要予測の中間報告 (c) 造船WGの中間報告 (d) 舶用WGの中間報告 (e) 今後の調査スケジュール (f) その他 c.第3回 「造船業の今後のあり方の調査研究委員会」開催 日 時 平成8年3月7日(木)14:00〜17:00 場 所 船舶振興ビル10F会議室 出席者 小山健夫(委員長)他24名 課 題 (a)第2回委員会議事要旨の確認 (b)造船WGの中間報告 (c)舶用WGの中間報告 (d)事業報告書(案)の審議 (e)その他
■事業の成果
本調査は、我が国造船業・舶用工業の中長期的なあり方について調査研究し、造船・舶用工業界の経営指針の一助となる資料を得るために実施したものである。 昭和60年に取りまとめられた「造船業の長期ビジョン」10年を経て、世界の造船業は再び大きな転換期に差し掛かっている。まず、需要環境からみれば、需要の山を形成すると期待されていたVLCCの代替が早晩終わり、ポスト・VLCCの時代を真剣に考えることが必要である。また、競争環境を見れば、「長期ビジョン」当時はまだ発展途上にあった韓国造船業がこの間にカをつけ、かつ、大規模な設備増強によって少なくとも規模においては、我が国に匹敵する能力を獲得しつつあるため、今後は一層厳しい競争にさらされることが予想されている。このことは、我が国造船業が最強の競争力を持つことを前提として構成される議論、つまり、世界の造船市場の安定化を我が国造船業の国内的問題として理解する議論ではもはや説得力を持たないということを意味している。また国内的には、長期間にわたる構造調整の結果、経営資源の縮小、散逸化や雇用条件が他業種に比べて十分でないことによるソフトインフラの崩壊の危機等産業を支える基盤が揺るぎかねない状況になっており、このままでは将来健全な産業として存立し続けることについても楽観を許さなくなってきている。 しかしながら、前回の長期ビジョン以降、テクノスーパーライナーやメガフロートの研究開発、CIMの開発技術等を核として造船業を変えていこうという努力も、一方で着実に進められている。これらに、近年における情報技術の急速な発展を考え合わせると、我が国造船業が2000年代には従来の造船業のイメージを一新した産業に生まれ変わることも不可能ではないと考えられる。 以上のような我が国造船業及びこれを取り巻く環境を踏まえつつ、造船業の今後のあり方として以下のような将来像を提示した。 <我が国造船業の将来像> (1)我が国造船業の課題 [1] 国際競争力の確保 [2] 為替変動への柔軟な対応 [3] 適切な雇用条件の確保 [4] 技術基盤の強化 (2)いかにあるべきか − 実現手法の検討 − 〔前提条件〕 我が国造船業は、市場原理の尊重、企業の自助努力を基本としつつ、(1)の課題を解決し、国内的に存在意義のある健全な産業として生き残ることを目指すべきである。 これらの課題を解決するには、以下の対策を実施していく必要がある。 [1] 情報技術等先端的技術を駆使した高度の生産性を有する次世代造船業の構築へ向けての基盤整備 a.自動化・情報技術の導入促進 b.集約の促進による経営資源の再統合及びスケールメリットの追求 c.生産拠点の集約・再建等による事業所の専門化、生産規模の適正化 d.標準化の推進等、舶用工業も巻き込んだ生産合理化基盤の整備 [2] 研究資源の集約、外部資源の活用等による研究基盤の強化 [3] 需要創出による操業量の確保、産業の活性化
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