■事業の内容
（１）残留応力の実用的計測法及び推定法の研究
[1] 実用的な溶接残留応力の計測法の研究
Ｘ線残留応力計測装置で立向き面の計測を能率よく行うための治具を改良・試作し、その性能テストを行い、実用の可能性について検証した。
[2] 溶接残留応力の推定法の研究
残留応力の推定計算解析プログラムの改良を行い、同プログラムにより簡易シミュレーション手法の確立、並びに隅肉溶接部、突合せ溶接部の熱弾塑性解析を行って、溶接残留応力生成源の算定法を検討した。
[3] 工作法
船体構造の工作法に関する調査結果等に基づき問題点を整理し、代表的な工作法の残留応力生成シミュレーション解析および模型試験を行って、工作法による残留応力の定量化手法について検討した。
（２）模型試験
[1] 小型試験片による試験
小型試験片による残留応力計測および解析を行って、シミュレーション手法の検証、計測法の妥当性、溶接順序・工作法の影響について検討した。
[2] 大型構造モデル試験体による試験
大型構造モデルによる計測試験を実施し、計測法の構造モデルへの適用性、工作法の影響について検討を行った。
（３）実際の船体構造における残留応力に関する研究
[1] 実船での残留応力の把握
コンテナ船で残留応力の計測を行い、計測法の妥当性の確認と計測データの解析を行った。
[2] 実船での残留応力の推定
解析モデルを用いて、計測データとシミュレーション計算結果と比較検討し、実船の残留応力の推定法について検討した。
■事業の成果
溶接構造物の残留応力の実態把握に重点を置き、その実用的計測方法および推定法の調査研究を行い、下記の成果を得た。
（１）残留応力の実用的計測法および推定法
[1] 実船計測用としてＸ線計測法と磁気歪計測法を選定し、改良を加えた。
[2] 市販のシミュレーションプログラムを改良して、簡便な残留応力推定プログラムを開発し試解析を行い、実験結果との良い対応を得た。
（２）模型試験
[1] 計測法、推定法の精度検証のため、小型模型・大型模型により、Ｘ線、磁気歪、切り出し法で計測試験を実施し、計測法の実用性を確認するとともに、残留応力に及ぼす板厚、溶接長、熱処理、材質、溶接順序等の影響を明らかにした。
（３）実船計測
新造コンテナ船で実船計測を行い、計測法の実用性について確認できた。
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