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「操縦運動時の船体周囲流場に関する研究」の報告書

 事業名 操縦運動時の船体周囲流場に関する研究
 団体名 日本造船研究協会 注目度注目度5


■事業の内容

(1)操縦性能推定法の基礎調査
[1] 改良数学モデルによる対象船の試計算
 操縦運動時の流体力及び船体周囲の流場の検討に基づき、従来各機関で用いられていた数学モデルの改良を行い、操縦性能の推定方法を検討した。これらに基づき新たに作成した計算プログラムによる試計算を繰返し実施し、実験結果との比較検討を行い、さらに推定式に改良を加えた。
 また、約40隻の操縦性資料のデータベースを作成し、これに本研究により得られたデータ等を追加し、回帰分析等の統計解析手法を用いて操縦性に及ぼす影響因子とその度合いについて検討を行った。さらに、推定法の精度を向上させるために、シリーズ船型等だけを抽出した詳細な解析を行い、また船体形状を表現するパラメータを追加して解析を実施した。
 これらの結果を用いて、操縦性能推定法を確立することが出来た。
(2)模型試験
[1] 操縦運動時の船体表面圧力計測
 船尾型式がU型及びV型の2隻の模型船について、旋回中の船体全表面の圧力計測を行った。計測点数は1隻につき約440点に及び、計測値から旋回による遠心力を補正して表面圧力を求めた。これらデータを用いて旋回中に船体に作用する力を求め、特に船長方向の横力の分布が船体形状によりどのように異なり、それがどのように操縦性能に影響を及ぼすかを解析した。また、昨年度までに行った斜航中の表面圧力のデータについても、さらに詳細に同様の解析を実施した。
[2] 船体形状変更シリーズの操縦性能試験
 昨年度までに製作して試験を実施したU型、V型及びその中間船型をさらにシリーズ的に変更する方針を検討し、船幅の拡大、船体平行部の長さの変更、喫水の変更等を行った。これらのシリーズ船型について、拘束模型試験、スパイラル試験、Z操舵試験等の各種の操縦性試験を実施した。実験結果は船型変化から予想される傾向を示すことが確認され、これらのデータは操縦性能の推定法と流場の理論的検討のために利用された。
(3)操縦運動時の流体力および船体流場の理論的検討
[1] 数学モデルの操縦性能推定プログラムヘの組み込み
 現在用いられている各種の流体力計算法を基として、実験やデータベースの検討で得られた知見を用いて流場や流体力の推定計算法の修正を行った。これらの数学モデルには、船体形状のうち特に船尾形状の肥瘠度を的確に表現できるようなパラメータを検討して用いた。また、舵、プロペラによる干渉計算、数値流体力学による計算も実施した。この結果として、いろいろな条件に適合するような操縦性能推定プログラムが完成された。
(4)研究成果のとりまとめ
 船体形状のうち特に船尾形状をシリーズ的に変化させたSR221A、B、C船型を中心として、各種模型試験における基本的な操縦性能の把握や船体流体力の理論的推定法の検討、プロペラ、舵の流体力学的相互干渉効果の計算法などを検討するとともに、流体力微係数のデータベースの整備などを検討してきた。これらをとりまとめた成果の一つである定常旋回特性の計算式を用いて、船尾フレームラインが異なるVLCC2船型の操縦運動の推定を行った結果、針路安定性の違いが明確に判断できる計算結果が得られ、模型試験結果ともよく合うことが確認された。このような針路安定性の船体形状による差は、従来は模型試験で求められるだけであり、計算から求めることは難しかったものである。
■事業の成果

船舶運航の安全性の観点から、船舶の基本計画の段階における操縦性能の推定精度の向上が緊急の課題となっている。とりわけVLCCなどの大型タンカーは、ともすればその貧弱な操縦性能(例えば針路不安定性など)の故に、座礁・衝突による油流出など、地球規模の環境破壊を引き起こす。
 本研究は船体のフレームライン形状を変更できるような計画初期段階において、操縦性能を精度よく推定できるようなツール開発を狙ったものである。このためには船体に作用する流体力、特に線形流体力微係数が精度よく推定でき、斜航・旋回等の操縦運動時に船体に作用する流体力が明らかになる必要があり、本研究ではVLCC船型の針路不安定性などを大変精度よく推定することが可能となって、研究の目的はほぼ達成されたと考える。
 一方、今後の問題として、さらに操縦性能の推定精度を定量的にも向上させるためには操縦性を推定できる船型の適用範囲の拡大、非線形微係数を取り上げる問題、新船型への適用問題等があり、今後一層の研究が必要と思われる。





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更新日: 2019年10月19日

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