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■事業の内容

本事業は、これまで個々に存在していた魚類等の生物学的動作、運動メカニズムに関する国内外の研究論文等の解析、整理を行ったうえで、基礎発想に役立つ系統だった技術書としてとりまとめ、これからの造船業を担う学生等に提供することにより、船舶・海洋等に対する新鮮な発想力の喚起を促すものであり、以下の内容について研究を行った。
(1)編集基本方針の検討
 編集対象とする学生層を造船・海洋関係の高等専門学校、大学に設定し、平易な記述でありながら、充実した内容とするため、本の編集構成、記述方法、記述内容等について検討を行った。
(2)文献調査及び評価
 水中における運動メカニズムを中心に、
[1] 体長と速度の関係
[2] 推進方法
[3] 魚類の表面抵抗
[4] 推進力の発生源
[5] その他
のそれぞれの分野について、国内外の文献約100冊余りを調査し、文書に取り入れるべき内容、数式等の抽出、検討を行った。
 また、東海大学海洋学部(静岡県清水市)において現地調査を行い、魚類等における生物学的動作や運動メカニズムに関する有益な知見・知識を持つ、同大船舶工学科と当該研究に関する意見交換等を行うとともに、世界でも唯一の機会水族館にて海洋生物の推進メカニズム等を調査した。さらに、魚の流体力学的観点からの考察と文献等では入手が困難な生のデータについて調査するため、琉球大学において委員会を開催するとともに国営沖縄記念公園水族館を訪問し、同館館長へのヒアリング等を行った。
(3)編集取りまとめ
 これまでに収集、評価した情報を盛り込みながら、各章の構成、構成順序、その中で取り上げるべき理論、数式等について、今回、本書の編集対象としている学生たちに、理解が深まるような構成とすべく検討を行い、その決定を行った。
※本事業は平成8年9月30日完了予定である。
■事業の成果

魚類等の水棲動物における生物学的動作、運動メカニズムをターゲットにして、水中における運動を支配する運動量理論、細長物体理論、振動翼理論、境界層理論、レイノルズの相似則といった専門的な理論から、ニュートンの力学といった古典的なものまでも網羅した、系統だった技術書として取りまとめることができ、これからの造船業を担う学生等に船舶・海洋等に対する新鮮な発想力の喚起を促すことの充分可能なものに仕上げることができた。





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