
■事業の内容
(1)南西諸島北部海域における新しい海上交通体系の整備に関する調査研究 平成6年度〜7年度にわたる2ケ年継続事業であり、本年度は前年度の調査結果を踏まえた上で、当該地域の状況に適した「海上交通体系の整備推進方策の提言」を行うために以下の調査を実施し、その調査分析を報告書として取りまとめた。 [1] 望まれる運航案の第一次実施案(複数)の運航シミュレーションを実施した。 [2] [1]の実施案の各々について利害得失を整理した。 [3] [1]、[2]により、望まれる運航案実施のための方策と課題を整理し、将来の代替船建造、航路整備の方向性について取りまとめた。 [4] [1]〜[3]により、望まれる海上交通体系整備推進方策の提言を行った。 (2)九州・山口の港湾における物流機能の充実に関する調査研究 平成7年度〜8年度にわたる2ケ年継続事業であり、本年度は九州・山口の港湾物流機能の充実に関して具体的な検討を行うため、当地域のコンテナ貨物輸送において中核的な役割を果たしている関門港をモデル港湾として選定した。 その上で、港湾物流機能の特性を整理し、関門港に求められる港湾物流機能の要件を抽出するため、以下の調査を実施し、その調査分析結果を報告書として取りまとめた。 [1] 九州・山口の港湾における物流実態の把握 ・貨物の流動実態 ・港湾物流機能の現況 [2] 関門港における港湾物流機能の特性を把握するため、アンケート調査及びヒアリング調査を実施した。 【アンケート調査】 輸出入貨物を取扱う荷主企業/福岡県/佐賀県/長崎県/熊本県/大分県/宮崎県/鹿児島県/山口県/広島県/島根県 1419/394/121/87/77/195/56/90/123/226/50 佐賀県 【ヒアリング調査】 荷主企業 5社 外航船社 2社 港湾物流業者 6社 その他 2社 [3] [1]、[2]の調査結果を踏まえて、関門港における港湾物流機能に関する問題点を抽出した。 [4] [2]の調査結果を踏まえて、荷主企業からみた利用港湾の選択要件、外航船杜からみた寄港地の選択要件を把握した。 [5] [1]〜[4]により、関門港において強化することが求められる港湾物流機能の要件を整理した。 (3)九州経済圏における普通倉庫、冷蔵倉庫を整備のあり方に関する調査研究 平成7年度の単年度事業であり、倉庫が果たすべき総合的な物流機能の強化、充実を図るための課題と対応策を検討し、今後の倉庫整備の指針を示すために、以下の調査分析結果を報告書として取りまとめた。 [1] 九州経済圏の経済概況、倉庫の概況・物流基盤等の整備動向、貨物流動の実態について把握するため、既存資料の収集・分析を行った。 [2] 荷主ニーズと倉庫業者の事業展開を把握するため、アンケート調査及びヒアリング調査を行った。 【アンケート調査】 合 計/福岡県/佐賀県/長崎県/熊本県/大分県/宮崎県/鹿児島県/山口県/その他 1361/662/101/83/95/72/65/117/92/74 【ヒアリング調査】 普通倉庫業者 7杜 冷蔵倉庫業者 6社 [3] 平成12年度の保管需要及び、これに基づく整備目標庫腹量を予測、算出し、倉庫の整備・配置計画を検討した。 [4] [1]〜[3]より、倉庫整備計画達成のための対応策と課題を整理した。
■事業の成果
(1)南西諸島北部海域における新しい海上交通体系の整備に関する調査研究 関係先を対象としたヒアリング調査、運航シミュレーション実施及びその検討の結果、以下の事項が明らかになった。 ・南西諸島航路の実態と吐嚆喇列島の現況 ・当該海域における問題点 ・当該海域を取りまく環境変化 ・望まれる運航案及び答案に対する利害得失 ・望まれる海上交通体系の整備推進方策の提言 以上、新しい海上交通体系の整備推進方策を提言するために、望まれる運航案(複数案)の策定どこれらに対する利害得失の整理を行い、運航案実施のための課題と対応を検討した。 本調査研究成果は、離島振興開発の一環である海上交通体系の整備を推進するため、国及び地方公共団体の行政指針の策定、関係業界の対応策の策定に活用されている。 また、鹿児島県十島村では平成11年の村営船「としま」の新船就航にむけて、本調査研究をもとに基本計画を作成し、準備委員会を設置する等、航路網整備の準備を進めている。 (南日本新聞 平成7年12月16日“新しい海上交通体系の整備検討報告まとまる”と掲載された。) (2)九州・山口の港湾における物流機能の充実に関する調査研究 関係先を対象としたアンケート・ヒアリング調査結果及び関係資料等の分析の結果、以下の事項が明らかになった。 ・九州・山口の港湾における物流実態 ・関門港における港湾物流機能の特性 ・荷主・船社からみた利用港湾及び寄港地の選択要件 ・関門港に求められる港湾物流機能の要件 以上、関門港をモデルケースとして現状における港湾物流機能の評価を行い、その結果を踏まえて利用者にとって利用し易い条件等の課題を抽出し、関門港において強化することが求められる港湾物流強の要件を整理した。 本調査研究成果は、今後激化が予想される国際ハブ港湾館の競合に対応した港湾物流機能充実を図るため、国及び地方公共団体の行政指針の策定及び関係業界の対応策の策定に活用されることが期待されている。また、本調査研究の報告の一環として、次のレポートが掲載された。 ・「ハブ港湾の競争戦略」 日本工業新聞 平成7年10月13日 ・「地方港湾の国際化とハブ機能の強化の両立にむけて」 マリンジャーナル VOL.44 (財)九州海運振興センター (3)九州経済圏における普通倉庫・冷蔵倉庫の整備のあり方に関する調査研究 関係先を対象としたアンケート・ヒアリング調査結果及び関係資料等の分析の結果、以下の事項が明らかになった。 ・普通倉庫・冷蔵倉庫の整備 ・普通・冷蔵貨物の流動実態 ・普通倉庫・冷蔵倉庫荷主の物流ニーズ ・普通倉庫・冷蔵倉庫の整備・配置計画(整備目標庫腹量) ・整備計画達成のための対応策と課題の整理 以上、平成12年度を目標年次とした庫腹量の策定を行うとともに、物流業界の中核として倉庫が果たすべき総合的な物流機能の強化・充実を図るための課題と対応策を検討した。 本調査研究成果は、荷主ニーズ、物流等の社会経済環境の変化を踏まえてた倉庫整備の指針として、国及び地方公共団体の行政指針の策定、関係業界の経営戦略の策定に活用されている。
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