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■事業の内容

(1)総合調整・試験
 総合調整については、前年度までに試作の信号処理器(前置増幅器を含む)、制御表示器、外部記憶装置及び送受波器を接続し、試験水槽と疑似信号とを用い設計通りの作動ができるよう総合的に調整を行った。
 また試験については、送信出力、受信入出力、受信周波数特性、送受信信号の波形、振幅等の制御・変換及び演算処理・表示動作と外部記憶装置についての記憶・読み出し動作状況等の試験により動作確認を行った。
(2)海域実験
 (株)日本無線担当者による、9月実施の事前調査結果で決定した第四港湾建設局下関港工事事務所所管の建設中の岸壁を借用し、下記のように海域実験を実施した。
 委員長、委員及び協会担当者の立会のもと、同岸壁前面の水深約5mに設置した送受波器から、関門海峡の航路筋に向けて水平方向的500m、中心方向から左右に30度の扇形状の対象海域に超音波信号を発射し、流れの影響をドプラ効果として受けた受信信号を処理し、西流最強特約6ノット、東流最強特約4ノット及び転流特約1ノットの流況の観測・記録に成功した。多量の取得データと、第七管区海上保安本部の協力による流況比較データとともに整理・解析及び結果の評価を行った。
(3)報告書の作成
 3年間にわたる本研究開発事業全般の概要及び経緯、装置の基本・詳細設計及び試作、調整・試験、海域実験、取得した観測データ及び関連資料の整理・解析及び評価・今後の課題等を取りまとめて200部作成した。
■事業の成果

昨年度までに試作を完了した「水平ドブラ式流況分布測定装置」を用いた今年度の海域実験により海域・狭水道等における流況分布が、効果的に観測・表示・記憶できる性能を有するという3年間にわたる本事業の成果を確認できた。一方、実験データの解析・評価により本装置の性能の限界、今後解決すべき課題、特により観測精度の向上策等も明らかとなりこれらを踏まえての活用により直接的に海難防止に貢献できるものと期待される。





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