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■事業の内容

(1)移動制約者のための円滑な交通体系整備のあり方に関する調査研究
[1] 移動制約者の交通モード別需要展望
 平成6年度調査で行った、高齢者・障害者へのアンケート調査の結果をもとにして、高齢者・障害者の外出頻度・目的、外出先の把握等を行い、また、今後の交通需要の展望を検討した。
[2] 施設・車両の対応技術の検討
 施設(上下移動施設、バス停等)・車両について、先進事例を収集するとともに、調査対象地域への導入の可能性等の検討を行った。また、施設・車両に関する今後の課題及び整備のあり方について検討した。
[3] モデルルートにおける移動上の改善方策例の検討
 平成6年度のアンケート・ヒアリング調査の結果をもとに、移動上の問題点、課題を整理し、また、モデル地区の現地調査を行うことによって、整備の現状を把握した。それに基づき、具体的にターミナル地区における乗換ルートの整備課題、歩道・地下街通路空間の整備課題等について、検討した。
 さらに、それらの課題を解決するための整備計画の検討を、三宮、新長田の両地区について行い、今後のあり方を示した。
[4] 情報機器等開発状況の把握
 メーカー等における情報機器等の開発状況をヒアリング調査等により把握し、その実用化例として、先進事例を収集した。
[5] 基本理念と基本的考え方の整理
 移動制約者のための施設整備に関して、既往の個別施設整備ではなく、連続性確保のためのネットワーク整備の概念を創出し、そのネットワーク整備の指針を示すとともに、整備レベルの評価の考え方についても整理した。
[6] 交通モード別の整備方針と整備内容の検討
 上記[1]〜[5]の調査結果をもとに、また、先般の阪神・淡路大震災での教訓をもとに、[1]調査対象地域における今後の交通体系のあり方、[2]震災時等における対応策、[3]ソフト的な支援策について検討を行い、移動制約者のための円滑な交通体系を確立するための施策を交通モード別に提案した。
[7] 今後の検討課題の整理
 [6]で提案した施策を実現・推進していくための課題について、技術的・制度的な課題と財政的な課題とに区分して整理した。
[8] 調査のまとめ、報告書の作成
 上記(1)〜(7)の調査結果を委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
a.部 数  A4版 200部
b.配布先  関係官庁、地方自治体、研究機関、委員会委員等
(2)近畿圏における物流拠点の整備構想策定に関する調査研究
[1] 近畿圏の物流拠点の現状並びに物流拠点をとりまく環境の変化と物流拠点への影響の把握
 既存資料により、物流拠点の現状を立地面、性格別から整理するとともに、物流拠点を陸上、海上、航空輸送型の類型別に整理し、とりまとめた。また、社会経済環境の変化や主要プロジェクトの動向等、近畿圏の物流拠点をとりまく環境の変化が物流拠点に与える影響について把握し、とりまとめた。
[2] 荷主・物流事業者の物流動向に対するニーズの現状と問題点の把握
 荷主・物流事業者を対象に、物流拠点の整備に関するアンケート・ヒアリング調査を実施し、物流拠点の立地面や機能面の整備に対するニーズや問題点等を把握しとりまとめた。
〔調査対象〕
(アンケート) 荷主企業     500社
物流事業者  1,500社
(ヒアリング) 近畿、東京、岡山、広島、札幌地区の荷主、物流事業者
[3] 各府県等地方自治体の物流関連施策の把握
 既存資料並びに、近畿2府4県の地方自治体へのヒアリング調査により、上位関連計画や物流関連施策を把握するとともに、物流拠点整備に関連する法制度等についても整理し、とりまとめた。
[4] 需要予測方法の検討
 近畿圏の物流拠点需要量の予測方法等について検討した。
a.対象圏域  近畿2府4県
b.目標年次  2005年
c.物流拠点  タイプ別
貨物需要量の推計  国際物流型、広域物流型、域内物流型
[5] 近畿圏における物流拠点整備の課題の検討
 上記[1]〜[3]の調査・検討結果を踏まえ、近畿圏における物流拠点整備の課題を整理し、とりまとめた。
[5] 調査のまとめ、報告書の作成
 上記の調査結果を踏まえ、委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
a.部 数  A4版 80部
b.配布先  運輸省、委員会委員等
(3)貿易構造の変化に対応した大阪港における港湾運送事業のあり方に関する調査研究
[1] 貿易構造、貿易物流の変化についての実態把握
 我が国の港湾を取り巻く貿易構造及び貿易物流の変化・動向について、既存資料により把握するとともに、大阪港背後圏地域の主要産業の動向や海外進出状況、大阪港の利用状況について把握し、とりまとめた。
[2] 港湾施設の現況と将来計画等の調査
 既存資料及びヒアリング調査により、大阪港の外貿貨物の取扱い動向や施設整備の現状を把握するとともに、産業・貿易構造等の環境の変化に対応した港湾施設の整備計画等について把握した。
 また、国内主要港湾(東京、横浜、名古屋、北九州)の港湾管理者及び港湾運送事業者へのヒアリング調査により、港湾の環境変化への施設面、事業運営面での対応状況について把握した。
[3] 港湾運送事業の現況と将来動向調査
 既存資料及び大阪港における港湾運送事業者を対象にアンケート・ヒアリング調査を実施し、港湾運送事業の現状と貿易構造変化や荷主ニーズの高度化への対応方針等の事業経営に関する計画や意向について把握した。
〔調査対象〕
港湾運送事業者(元請事業者)  77社
(専業事業者)  77杜
[4] 港湾運送に対する利用者の物流ニーズ調査
 大阪港を利用している外貿荷主及び、外資船杜・代理店を対象にアンケート・ヒアリング調査を実施し、大阪港の利用実態、利用上の問題点、評価、港湾運送事業者に対する要望等について把握した。
〔調査対象〕
荷主企業     400社
外資船杜・代理店  60社
[5] 貿易構造の変化に対応した港湾運送事業のあり方の検討
 上記[1]〜[4]の調査結果に基づき、委員会で検討のうえ、大阪港における港湾運送事業を取り巻く環境変化から生じた課題を整理するとともに、貿易構造の変化に対応した大阪港の港湾運送事業のあり方についてとりまとめた。
[6] 調査のまとめ、報告書の作成
 上記の調査結果について委員会で検討のうえ、報告書を作成した。
a.部 数  A4版200部
b.配布先  関係官庁、地方公共団体、研究機関、委員会委員等
■事業の成果

(1)移動制約者のための円滑な交通体系整備のあり方に関する調査研究
 本調査研究は、高齢者・障害者の社会参加の要請が高まる中で、外国人や妊婦等をも「移動制約者」として捉え、これらの人々が社会生活を営む上で、移動手段、交通手段が果たす役割は極めて重要であるという認識のもとに、移動制約者の視点に立脚し、移動制約者のニーズを充足することのできる最適な交通体系整備のあり方について、神戸市をモデル地域とし、検討することによって、移動制約者のための望ましい施策を提案したものである。
 この調査結果が神戸市における今後の交通体系整備の指針としてのみではなく、全国各地における移動制約者を含む全ての人にとって安全で快適な交通体系整備の検討に資するものと思科する。
(2)近畿圏における物流拠点の整備構想策定に関する調査研究
 本調査は、物流ネットワークの結節点として位置づけられる物流拠点について、2005年を目標年次として、21世紀に向けての望ましい物流拠点整備のあり方を検討することを目的に、その機能の高度化や複合化をはじめ、地域の特性に応じた物流拠点整備のあり方、整備方策を策定するものである。
 そこで、本年度は、物流拠点の現状並びに、荷主・物流事業者の物流拠点に対するニーズを把握するとともに、地方自治体をはじめとする物流関連施策の把握を行い、近畿圏の物流拠点整備をとりまく課題を検討したもので、この調査結果を、平成8年度の物流拠点整備構想策定のための基礎資料として活用するものである。
(3)貿易構造の変化に対応した大阪港における港湾運送事業のあり方に関する調査研究
 本調査は、大阪港を取り巻く貿易構造の変化と、多様化、高度化する利用者ニーズに対応していくために、大阪港における港湾運送事業は今後どうあるべきかについて、貿易構造の変化要因の分析並びに、荷主・船杜等の利用者ニーズの分析結果等から検討したものである。
 この結果、大阪港の望ましい将来像を「省コスト・高効率型港湾」として取扱貨物量の増大を目指し、今後10年間位の間に、この目標を達成するために「大阪港輸出入貨物流通システム」の導入を提言したものである。このシステムの基本理念は、中小事業者の多い大阪港の港湾運送事業者の共同化であり、事業者自らの体制、体質の強化とともに、荷主・船社等の利用者並びに、施設、制度面からの行政機関の支援、協力により、本システム導入に向けての基盤づくりがなされることを期待するものである。





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