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■事業の内容

1988年10月に開催された「海上における人命の安全のための国際条約」(SOLAS)の改正会議で、新しい海上遭難安全通信システムである「海上における遭難及び安全に関する世界的な制度」(GMDSS)を導入することが採択され、我が国では船舶安全法、電波法等関係法令の改正が行われ、船舶の種類や大きさ、航行区域、国際航海・非国際航海等の別に、搭載すべき無線電信または無線電話、航海用具、救命設備等の無線設備が新しく規定され、平成11年1月31日までに段階的にGMDSSの無線設備を設置することが義務づけられた。
 そこで、本事業は海運、水産、造船、海洋レジャー等のすべての関係者に対し、GMDSSの概要、新制度の有効・有益性並びに船舶搭載機器の適正な取り扱い等について広く周知し、GMDSSの円滑な導入の促進を図るとともにプレジャーボート等に対する関連機器の搭載の促進を図ることを目的として、下記のとおり実施した。
(1)推進活動用教材の作成・配布
 教材の作成に当たっては、海上保安庁関連施設及び製造企業等を訪問し、関連各所を見学するとともに関係者から説明を受け、GMDSSに関する知見を高めた。
 また、制作作業を進めるにあたっては、関係者により内容の検討を重ねた。
[1] 推進活動用教材の作成・配布
a.名 称  GMDSS ─海上における遭難及び安全に関する世界的な制度─
b.規 格  ビデオ VHS18分
c.作成数  オリジナル1本、複製142本
d.内 容  GMDSSの概要及び船舶搭載機器の適正な取り扱いと誤発射の防止、陸上通信施設の機能及び運用形態、新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について分かりやすく解説したもの。
e.配布先  運輸省、海上保安庁関係機関及び海上保安協会、海運、造船、海洋レジャー等関係団体
[2] パンフレットの作成・配布
a.名 称  GMDSS ―船舶の安全航行と迅速な救助活動のための新海上通信システム―
b.規 格  A4判 8頁4色刷り
c.作成数  20,000部
d.内 容  GMDSSの概要及び船舶搭載機器の適正な取り扱いと誤発射の防止、陸上通信施設の機能及び運用形態、新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について分かりやすく解説したもの。
e.配布先  運輸省、海上保安庁、海事関係教育機関、海上保安協会、海運、水産、造船及び海洋レジャー等関係団体並びに東京国際ボートショウ会場入場者等
(2)推進活動
 推進活動は、ビデオ、パンフレットを主な教材とした講習会に重点をおき、次の11か所で実施した。
[1] 小樽地区
a.開催場所   道民活動振興センター(札幌市)
b.開催年月日  平成8年2月8日
c.主な対象者  関係官公庁、北海道漁船海難防止センター、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー等関係者
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   79名
f.その他    北海道運輸局船舶部船舶監査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[2] 塩釜地区
a.開催場所   多賀城市文化センター(多賀城市)
b.開催年月日  平成7年12月7日
c.主な対象者  関係官公庁、教育機関、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー等関係者
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   147名
f.その他    東北運輸局船舶部船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[3] 横浜地区
a.開催場所   ポートコミュニティ万国橋(横浜市)
b.開催年月日  平成7年12月6日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー及びその他の海事関係者
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   147名
f.その他    関東運輸局船舶部船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[4] 名古屋地区
a.開催場所   名古屋港ポートビル(名古屋市)
b.開催年月日  平成8年2月16日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー及びその他の海事関係者
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   143名
f.その他    中部運輸局船舶部船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[5] 神戸地区
a.開催場所   兵庫県教育会館(神戸市)
b.開催年月日  平成8年2月7日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー及びその他の海事関係者
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   150名
f.その他    近畿運輸局神戸監理部船舶部次席船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[6] 広島地区
a.開催場所   広島南区民文化センター(広島市)
b.開催年月日  平成8年1月31日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー及びその他の海事関係者等
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   85名
f.その他    中国運輸局船舶部船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[7] 門司地区
a.開催場所   門司文化センター(北九州市)
b.開催年月日  平成7年12月14日
c.主な対象者  海難防止団体、海運、水産、造船、海洋レジャー及び船舶通信機器関係者等
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   160名
f.その他    九州運輸局船舶部次席船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[8] 舞鶴地区
a.開催場所   京都府立舞鶴勤労者福祉センター(舞鶴市)
b.開催年月日  平成8年1月31日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線・海洋レジャー及びその他の海事関係者等
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   86名
f.その他    近畿運輸局舞鶴海運支局船舶検査長から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[9] 新潟地区
a.開催場所   佐渡汽船株式会社(新潟市)
b.開催年月日  平成8年2月13日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー及びその他の海事関係者等
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   97名
f.その他    新潟運輸局船舶部船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[10] 鹿児島地区
a.開催場所   城山会館(鹿児島市)
b.開催年月日  平成8年2月21日
c.主な対象者  関係官公庁、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー及びその他の海事関係者等
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   102名
f.その他    九州運輸局鹿児島海運支局船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
[11] 那覇地区
a.開催場所   沖縄市生コンクリート工業組合会館(那覇市)
b.開催年月日  平成7年12月12日
c.主な対象者  海運、水産、造船、海洋レジャー及び離島旅客船組合等すべての海事関係者
d.演  題
(a)GMDSSの概要及び新制度下における遭難安全通信の伝達方法等について
(b)船舶搭載機器の概要及び適正な取扱いと誤発射防止について
e.参加人員   105名
f.その他    沖縄総合事務局運輸部船舶検査官から「GMDSS設備の搭載要件等について」の説明があった。
(3)推進活動担当者連絡会議
 推進活動を円滑且つ効果的に実施するため、推進活動担当者連絡会議を次のとおり開催し、事業の概要説明及び討議等を行った。
[1] 開催年月日  平成7年9月20日
[2] 開催場所   晩萃軒ビル 3階会議室(東京都港区)
[3] 出 席 者  海上保安庁装備技術部通信課関係者並びに海上保安協会各地方本部推進活動担当者
[4] 会議内容
a.事業計画について
b.推進活動の実施要領について
c.GMDSS船舶設備について
d.GMDSS陸上施設の運用状況について
e.関連施設見学
f.その他(ビデオ放映等)
■事業の成果

(1)推進活動用教材(ビデオ・パンフレット)の作成・配布
 推進活動を効果的に実施するため、GMDSSの概要及び船舶搭載機器の適正な取扱いと誤発射の防止、陸上通信施設の機能及び運用形態、新制度下における遭難安全通信の伝達方法等を分かりやすく解説した推進活動用教材を作成し、運輸省、海上保安庁、海事関係教育機関、海上保安協会、海運、水産、造船及び海洋レジャー等関係団体並びに海運、造船関係企業に配布した。
 推進活動用教材は、関係者から「うまくまとめてあり、分かりやすい」との好評を得ており、郵政省、海運会社、無線機器メーカー等関係者から配布の要請を受けるほどであり、十分な成果が得られたものと思料する。
(2)推進活動
 推進活動は、推進活動用教材(ビデオ・パンフレット)を活用した講習会に重点をおき全国の11地区で実施したが、講習会への参加者は関係官公庁、海事関係教育機関、海運、水産、造船、船舶無線、海洋レジャー等多岐にわたり、全国では1,301人におよんだ。講習会では、参加者は講話を熱心に聴取しており、質疑応答も活発に行われるなど充実したものであり、十分な成果が得られたものと思料する。
 また、東京国際ボートショウ会場入場者に対し、ビデオを放映するとともにパンフレットを配布し、一般市民に対するGMDSS関連無線設備に関する知識の高揚を図るとともに搭載の促進に努めた。





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