■事業の内容
(1) 事前打合せ 次の各地において、関係海上保安本部・保安部署、契約防災措置実施者、海上災害防止センター及び防災関係事業者等による訓練実施日時・場所、訓練内容の検討、訓練要領の作成及び訓練海域調査等を実施した。 小樽地区 東京(京浜)地区(総合) 秋田(秋田・船川)地区 長崎地区 徳山地区 下津海南地区 (2) 講習会、洋上訓練及び研究会 次の内容により海上防災訓練を実施した。 [1] 小樽地区海上防災訓練 a. 講習会 (a) 日時場所 8月31日 14:00〜17:00 小樽国際ホテル 金扇の間 (b) 内容 イ. 海上災害防止センターの紹介 ロ. 最近の事故発生状況及び事故事例紹介 ハ. 油処理剤の使用について (c) 参加人員 約60名 b. 洋上訓練 (a) 日時場所 9月1日 13:30〜14:30 小樽市色内埠頭前面海域 (b) 目的 大規模台風災害に対する各関係機関相互の協力体制の強化と防災技術の向上及び市民の防災意識の高揚と防災知識の普及を図ることを目的とする。 (c) 訓練項目 情報の収集及び伝達訓練 船艇、資機材の動員 負傷者の救助及び搬送訓練 オイルフェンス展張訓練 油防除訓練 消火訓練 (d) 参加勢力 船艇 10隻 航空機 1機 人員 約 100名 オイルフェンス 400m c. 研究会 (a) 日時場所 9月1日 16:00〜17:00 小樽国際ホテル 金扇の間 (b) 内容 訓練実施における反省及び将来に関する討議 (c) 参加人員 約20名 [2] 東京(京浜)地区総合海上防災訓練 a. 講習会 (a) 日時場所 9月2日 13:30〜16:30 東京港芝浦サービスセンター 3階大会議室 (b) 内容 イ. 東京港における流出油事故対策 ロ. C重油流出事例について ハ. 有害液体物質等における作業上の安全対策 ニ. 有害波体物質等防除資機材の性能及び取扱 (c) 参加人員 約80名 b. 洋上訓練 (a) 日時場所 9月1日 10:30〜11:00 東京電力(株)大井発電所前面海域 (b) 目的 この訓練は、流出有害液体物質の防除に必要な専門的知識及び技術を習得するとともに、有害液体物質が大量に海上へ流出し、2号業務が発動されたとの想定に基づき、海上災害防止センター及び契約防災措置実施者と協力、官民一体となって二次災害の発生を防御しづつ、的確な海上災害の拡大防止のための応急作業を演練し、もって流出有害液体物質事故に対する防災能力の向上を図ることを目的とする。 (c) 訓練項目 情報伝達 ・ 防災各機関 ・ 通行船舶に対する事故情報 ・ 航泊禁止区域の設定・周知 火災消火 ・ 海中転落者救助 ・ 流出有害液体物質の防除 ・ ガス濃度測定(可燃性、有害性) ・ オイルフェンス展張(第一次、第二次) ・ 油ゲル化剤の散布・回収 ・ 放水による誘導封じ込め (d) 参加勢力 船艇 14隻 人員 約 180名 オイルフェンス 460m c. 研究会 (a) 日時場所 9月1日 11:00〜11:30 東京電力(株)大井火力発電所会議室 (b) 内容 イ. 訓練実施における反省及び将来に関する討議 ロ. 今後の発災時に対応できる態勢に関する討議 (c) 参加人員 約50名 [3] 秋田(秋田・船川)地区海上防災訓練 a. 講習会 (a) 日時場所 10月13日 14:00〜17:00 ホテル大和2階会議室 (b) 内容 イ. 油等の流出事故と防除措置について ロ. わが国の油防除体制について ハ. センターの紹介及び油処理剤の使用について (c) 参加人員 約70名 b. 洋上訓練 (a) 日時場所 10月14日 10:00〜11:30 秋田船川秋田区コスモ石油株式会社秋田油槽所桟橋前面海域 (b) 目的 秋田県石油コンビナート等防災計画に基づき、秋田地区石油コンビナート等特別防災区域周辺海域におけるタンカーの事故を想定し、官民一体となって大量流出油の防除、船舶火災の消火等海上災害発生時における諸作業を演練し、もって秋田船川港周辺海域の海上防災体制の充実強化を図る。 (c) 訓練項目 情報の伝達、出動要請 船艇、航空機、人員及び資機材の動員 タンカーT丸事故対策本部設置及び運営 付近航行船舶に対する広報等安全措置 総合調査本部の設置 流出油の防除措置 ・ オイルフェンスの展張 ・ 流出油の回収 ・ 流出油処理 船舶火災の消火 負傷者の救助 (d) 参加勢力 船艇 11隻 航空機 1機 人員 約 180名 オイルフェンス 500m c. 研究会 (a) 日時場所 10月14日 11:30〜12:00 ホテル大和2階会議室 (b) 内容 訓練等における反省、検討 (c) 参加人員 約40名 [4] 長崎地区海上防災訓練 a. 講習会 (a) 日時場所 11月24日 14:00〜17:00 長崎港湾労働福祉センター3階会議室 (b) 内容 イ. 我が国の海上防災体制とその現状 ロ. 事故事例と留意事項 ハ. センターの紹介及び排出油防除措置 (c) 参加人員 約70名 b. 洋上訓練 (a) 日時場所 11月25日 10:00〜11:30 (株)長崎油槽所第1桟橋前面海域 (b) 目的 長崎地区におけるタンカー等からの流出油事故を想定し、官民一体となった流出油の防除、船舶火災の消火及び人命救助諸訓練を演練し、関係機関相互の協力体制確立と海上防災訓練の充実強化を図ることを目的とする。 (c) 訓練項目 通報訓練及び初動措置活動訓練 緊急出動訓練 船舶の交通制限及び安全対策訓練 総合対策本部の設置訓練 オイルフェンス展張訓練 流出油回収処理訓練 火災船消火訓練 火災船の沖出訓練 (d) 参加勢力 船艇 14隻 人員 約 100名 オイルフェンス 500m c. 研究会 (a) 日時場所 11月15日 15:00〜17:00 長崎港湾労働福祉センター3階会議室 (b) 内容 訓練等における反省、検討 (c) 参加入員 約20名 [5] 徳山地区海上防災訓練 a. 講習会 (a) 日時場所 12月15日 14:00〜17:00 日本ゼオン(株)徳山工場会議室 (b) 内容 イ. タンカー豊孝丸事故と今後の油防除体制について ロ. 徳山海上保安部における海上防災業務について ハ. ムース化油の焼却処理について ニ. 油流出事故時における小人数での効果的即応 (c) 参加人員 約130名 b. 洋上訓練 (a) 日時場所 12月16日 10:00〜11:30 帝人(株)徳山事業所 帝人桟橋及び付近沖合海域 (徳山下松港内) (b) 目的 重油タンカーの海難による海上災害が発生した場合を想定し、これら災害を局限するため関係官民機関が一体となって、船舶火災等の消火及び流出油の防除並びに人命救助等の応急諸作業を演練し、防災に関する責任の自覚と技術の工場を図り、もって、海上防災訓練体制の確立に資することを目的とする。 (c) 訓練項目 情報伝達 船舶火災消火 延焼防止 火災船の引出し 人命救助 流出油の拡散防止 流出油の回収 流出油の処理 放水操練 海上保安庁特別通信要領の演練 関係機関通信要領の演練 (d) 参加勢力 航空機 1機 船艇 22隻 人員 約 130名 オイルフェンス 700m c. 研究会 (a) 日時場所 12月16日 14:00〜15:00 日本ゼオン(株)徳山工場会議室 (b) 内容 徳山海上保安部長講評 訓練等における反者、検討 (c) 参加人員 約30名 [6] 下津海南地区海上防災訓練 a. 講習会 (a) 日時場所 2月28日 13:30〜16:00 下津港湾防災会館会議室 (b) 内容 イ. 海上防災体制について ロ. 海上の大量流出油と防除活動 (c) 参加人員 約60名 b. 洋上訓練 (a) 日時場所 3月1日 10:00〜11:00 和歌山県下津町下津港内 (b) 目的 タンカー豊孝丸油流出事故を教訓として、油流出事故が発生した場合を想定し、海上災害防止センターと紀伊水道防災設備株式会社の連携により、資機材・人員の運搬等における出動体制の整備並びに流出油の拡散防止及び沿岸漂着の防止、資機材取扱の演練等の基本的流出油防除技術の修得を図ることを目的とする。 (c) 訓練項目 情報伝達 出動体制の確保及び出動 流出油の拡散防止 流出油の回収 流出油の処理 通信要領の演練 (d) 参加勢力 船艇 6隻 人員 約 40名 オイルフェンス 290m c. 研究会 (a) 日時場所 3月1日 13:00〜14:00 下津港湾防災会館会議室 (b) 内容 海上災害防止センター防災部長代理講評 訓練等における反省、検討 (c) 参加人員 約30名
■事業の成果
本事業は海上災害防止センターが海上保安庁長官の指示、船舶所有者等からの委託等を受け、排出油防除等の海上防災のための措置を実施するに際して、当該各地の契約防災措置実施者及び関係者が同作業を迅速且つ適切に処理することができるよう、同契約防災措置実施者等に対し、排出油防除に必要な知識、技術を習得させると共に、同作業の実施方法等を演練することにより、防災能力の向上、官民協力体制の強化及び防災意識の高揚を図ることを目的として、小樽、秋田(秋田・船川)、下津海南、徳山、長崎、東京(京浜)の6地区において海上防災講習会、実地(洋上)訓練、研究会を実施したことにより、次に掲げる各成果を得ることができた。 (1) 海上防災講習会 当該各地の契約防災措置実施者、地方公共団体各機関、防災関係事業者、石油化学関連企業体、港湾関係事業者等地元関係者の多数の出席を得て、「流出油事故事例について」、「海上防災体制について」、「油流出事故の防止対策と応急措置について」、「流出油事故からみる海上防災体制について」、「事故事例と教訓」、「有害液体物質等における作業体制」、「防災資機材の性能及び取扱」、「油流出事故時における小人数での効果的即応」、「海上災害防止センター業務説明」等の業務説明及び排出油等の防除に関する実験等を実施した。 各講習会の開催により、排出油等の事故の重大性を周知すると共に、排出油等の防除に関する知識及び防災能力の向上、防災意識の高揚を図ることができた。 (2) 実地(洋上)訓練 当該各地において、関係海上保安機関、関係地方公共団体及び地域大量流出油災害対策協議会等との合同により、海上保安庁の巡回船艇、航空機、地方公共団体各機関の船艇、車両、契約防災措置実施者及び防災関係事業者の船艇等大規模な勢力が参加し実地(洋上)訓練を実施した。 当該地域の地域性に対応させ、実体に則した総合的な海上防災訓練とし、排出油等防除に必要な技術の演練、習得により、防災能力の向上を図るとともに、各地域における官民協力体制の強化、防災意識の高揚を図ることができた。 (3) 研究会 実地(洋上)訓練等の結果を踏まえ疑問点、問題点、改善策等について熱心に討議が行われた。 各地とも実際の事故発生に当たり、的確な防除活動を実施するためには、地域の特殊性(地形、気象、海象等)を考慮した対応が必要であり、特に発生時における防災組織体制の早期確立(対策本部の設置等)、連絡系統の確保、日常における防災資機材の充実及び取扱訓練の必要性等、定期的な防災訓練の実施等についての積極的な討議が行われるとともに、排出油防除に関する専門的知識の必要性等が認識され、地域防災に対する防災意識の高揚が図ることができた。 以上、官民防災組織の中核的存在である当センターが主体となり、発災時に必要とされる官民一体となった総合的防災体制に即した排出油等防除に関する防災訓練を実施したことにより、関係各機関との協力体制がより一層強化され、地域防災の発展に貢献することができたものと思料される。
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