(2) 造船業の生産計画のあり方への提言 造船業の現況を振り返り、CIM化を妨げる問題点やCIM化促進のための造船業務変革点を抽出・整理し、GPMをベースとするCIMシステムによってどのように問題解決が可能か、その際の業務の流れはどうなるかについて検討を行った。同時に他産業の生産計画システムの調査も実施して参考とした。 [1] 生産計画の現状把握 「造船業CIMフレームモデルの開発研究」の内容をレビューするとともに、現状の問題点の整理を行った。 a. 設計業務:総合モデルとなっていないため、縦割りの業務フローでの処理が中心でムダが多い。 b. 組立要領:時間的制約や船殼/艤装品の図面出力のため最適化計画となっていない。 c. 日程計画:物量情報の入手時期が遅く、計画のあり方の整備も不充分なため最適化計画となっていない。 以上の解決策として、CIMの活用及びCIMシステム運用へ向けての業務と組織の変革があげられた。 [2] 他産業の生産計画の調査 自動車産業における生産計画の現状を調査し、造船業との比較をとりまとめ整理した。 [3] 生産計画のあり方の検討 CIM化跡に向けての業務と組織の変革について、以下の5項目を提案した。 a. 設計業務のあり方 b. 標準化のあり方 c. 情報提供方法のあり方 d. 生産と生産管理のあり方 e. 情報共有化と分業の推進
(3) GPMの造船業への適用手順構想の検討 [1] GPMEの開発 GPMの具体案であるGPMEを実際に開発する際の関発体制と開発スケジュールについて検討を行った。開発実施体制としては、GPMEの開発効率を高めるため、最新の通信技術を最大限利用して、GPMEの開発に関わる大学、造船所技術者、ソフトハウス及び米国の情報技術研究者間の情報交換の密度を上げるとともに、開発研究委員会及び開発作業WGを含めた4つの組織が、それぞれの機能と責務を分担しつつ、連携を取り合ってGPMEの開発研究を鋭意推進することとした。 [2] 適用手順 GPMEの適用手順についての検討を行い、以下の提言としてとりまとめた。 a. フレームモデルの概念に準拠した現有システムの整備を進めること b. GPM開発の動向を常に把握しておくこと c. GPM導入後の自己のシステムの全体像を確立し、それへ向けてシステムの再構築手順を明確にしておくこと また、適用手順の検討と並行して、業務変革の手順についても検討しとりまとめた。
(4) 海外調査 ICCAS'94(造船業へのコンピュータ適用に関する国際会議)、及びSTEP関連の国際会議に出席するとともに、CIM化が進んでいる海外の造船所や関係諸所を訪問して有益な情報の収集を行った。 調査回数:3回 調査日程と調査地 第1回 平成6年 5月13日〜 5月24日 STEPダボス会議(於スイス)、スイス標準協会他 第2回 平成6年 8月28日〜 9月11日 ICCAS'94(Intenational Conference on Computer Applicationson Shipbuilding in 1994、於ドイツ)、MYER WERFT造船所(ドイツ) 他 第3回 平成6年10月15日〜10月25日 国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)のSTEP会議(於アメリカ)他