(1) 企業のリストラと人事管理制度の変容に関する調査研究 [1] 調査方法 調査は、アンケート方式により、通信調査及び実地調査によって行った。 [2] 調査対象 全国主要企業 1,052社 [3] 調査項目 a. 雇用調整の状況 b. パートタイム労働者の雇用状況 c. 新規学卒者の採用状況 d. 人事考課制度の変更状況 e. 定年制度 f. 日本的雇用システムの見直しについて [4] 調査結果の概要 円高が定着する中で、製造業は低賃金、低コストを求めて国外へ立地を指向する傾向があり、日本の産業の空洞化が進んでいるといわれている状況の中で、各企業はリストラ(事業の再構築)やリエンジニアリング(事業の抜本的な見直し)と呼ばれる経営建て直しに必死に取り組んできている。このような認識の下に、調査は東京証券取引所第1部上場企業を中心として、これに準ずる企業をも含め1,052社を対象に実施したものである。 本調査の趣旨を理解し、協力回答が得られた企業は311社(回収率29.6%)で、回答企業の産業別内訳は、製造業が173社(55.6%)、次いで卸売・小売業の43社(13.8%)、建設業30社(9.7%)、金融・保険業29社(9.3%)、運輸・通信業18社(58%)等と、また企業規模別内訳は、常勤従業員1,000人〜2,900人の企業が128社(41.1%)と全体の約4割を占め、5,000人以上及び999人以下の企業がともに64社(20.6%)等となっている。 調査結果の一部を紹介すると、まず、この3年間の組織・人事制度等改革の取組みでは、労務費削減に直接結びつく「組織人員体制のスリム化」を実施した企業が74.0%と特に高く、次いで「人事考課制度の変更」47.8%、「教育研修制度の変更」46.7%等であった。また、今後さらに一歩進める必要がある改革でも「組織人員体制のスリム化」が73.4%と一番高く、次いで「能力主義賃金制度の推進」70.0%、「能力主義昇進管理制度の推進」61.7%等となっている。 ホワイトカラーの生産性が低いとの判断目安では、「生産部門に比し、管理部門の人員が多い、又は人件費が高い」56.1%、「生産・販売実績に対して人員が多い」40.9%、「職務内容に比して賃金の高い職員が多すぎる」38.9%であった。 人事考課の結果の昇進・昇格の決定への利用では「大いに影響する」46.9%、「影響する」48.6%、「参考程度に留める」4.5%であった。また、賃金決定への利用についてもほぼ同様の結果となっている。 60歳台前半層の雇用について、定年延長は「60歳まで」つまり現状より延長できないとする割合が26.8%、「61〜63歳まで」9.1%、「64〜65歳まで」8.0%となっている。勤務延長では「64〜65歳まで」12.3%(平成4年:前回7.8%)、「61〜63歳まで」7.6%(前回4.5%)、「60歳まで」6.5%(前回なし)であった。再雇用・常勤では「64〜65歳まで」42.4%(前回32.8%)、「61〜63歳まで」25.0%(前回20.8%)。再雇用・非常勤では「64〜65歳まで」28.6%(前回15.9%)、「61〜63歳まで」9.8%(前回7.1%)となっている。 日本的雇用システムでは、今後の厳しい環境下においても、より業務上の日本的雇用システムのメリットを強化しながら重視していきたいが、一方、高年層用上位ポストの過剰と高年層高賃金の負荷による労務費の重圧、固定費化に苦悩しており、今後も厳しい機構改革と人事でのメリットシステムの強化が継続されねばならないだろう。 [5] 報告書の作成 a. 部数 650部 b. 配布先 調査協力会社 311部 その他関係省庁及び諸団体 339部 (2) 人事管理の理論と実務に関する研究 [1] 研究項目 a. 服務・懲戒・分限制度 b. 勤務時間・休暇制度 c. 研修制度 d. 能率・厚生制度 e. 災害補償制度 f. 公平審査制度 g. 退職手当・退職年金制度 h. 派遣制度 [2] 報告書の作成 a. 部数 400部 b. 配布先 各省庁、付属研究所、大学図書館及び研究所等
■事業の成果