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■事業の内容

(1) アジア、アフリカ等におけるらい対策研究及び援助
[1] 技術者研修
a. 海外技術者研修(笹川フェローシップおよびスカラーシップ)
(a) 研修場所
日本国内:東京、熊本等にあるらい関係施設並びのに他の医療機関及び研究施設、大学
日本国外:インド、インドネシア、タイ、フィリピン等のらい関係、一般医療関係諸施設及び医科大学、その他の研究研修諸機関
(b) 研修期間  2週間〜12ヵ月(平均1ヵ月)
(c) 研修人員
イ. フェローシップ(39名)
ロ. スカラーシップ(101名)
b. 海外専門家技術者研修
(a) ベトナム国内セミナー
 べトナムの国内において、従来より当財団が支援している同国MDT実施地域の他、山岳地であるため未だMDTが実施されていない地区であるKon Tum県について今後の人員確保とMDT実施の円滑化を図っていくため下記のとおりセミナーを行った。
イ. 委託先   ベトナム政府保健省
ロ. 開催場所  Kon Tum県におけるMDT対象地域
ハ. 研修期間  1994年1月〜1995年3月
ニ. 参加人員  93名
(b) インドネシア国内セミナー
 インドネシアにおけるMDT(らい複合療法)推進に伴ない、西暦2,O00年までにらい根絶を図るため、MDT実施各地域の責任者を対象に、今後同国の各担当地域における綿密なプランを樹立すると同時に、管理の方法の改善を図るため、下記のとおり国内セミナーを行った。
イ. 委託先  インドネシア政府保健省
ロ. 開催場所、期間及び参加人員
地域指導者対象:1994年12月〜1995年3月
MDT実施15地域からのらい指導者 171名
保健従事者対象:1995年 1月〜1995年 3月
北・西スマトラ、並びに南・中部カリマンタン等11地区から一般らい従事視者(1,81O名)地域レベル指導者(180名)県レベルらい指導官(90名)
(c) ミャンマー国内セミナー
 ミャンマー国内のMDT実施地域拡大に伴う今後の人員確保とMDT実施の円滑化を図って行くため下記のとおりセミナーを行った。
イ. 委託先   ミャンマー政府保健省
ロ. 開催場所及び参加人数
MDT実施拡大地域:バゴ、マグウェイ、モン、シャン、キャイン、サガイン、タニンタルイ 所属62地区
MDT実施者     1,669名
フィールド指導者   621名
プログラム管理者   62名
トレーナー      39名
ハ. 研修期間  1994年4月〜1995年3月
c. 専門家技術者研修
(a) 国際医療協力研修(医学生等対象)
イ. 第18回らい医学夏期大学講座
ロ. 研修場所  東京・国立療養所多磨全生園、国立多摩研究所
ハ. 研修期間  平成6年8月22日〜8月27日(6日間)
ニ. 講師    国立療養所、研究所、大学のらい専門家
ホ. 研修人員  医学生・看護学生   32名
医師         6名
教授・講師      3名
その他医療従事者  20名
計 61名
d. らいに関する教材の開発及び供与
(a) らい蔓延国に適する教材の作成及び配布
イ. 使用目的   らいの教材の不足している発展途上国に対し、らいに関する教材を印刷した。
ロ. 教材の内容  MDT実施用教材らい関連教材
ハ. 利用者    発展途上国において、らいの医療に従事する職員及び一般保健医療従事者
(b) 世界各国に現存するらい関係教材の収集及び整理
世界的にらい教材として顕著な書籍を購入配布した。
[2] 現地技術協力
a. アジア、アフリカ等における技術協力
 実際にマンパワーの不足している発展途上国に、わが国の優れた専門家を派遣して、現地で技術指導・研修を行った。また、受入れ側国のニーズによっては、海外からの専門家を派遣したケースもあった。
(a) 派遣国   タイ(5名)、ネパール(10名)、中国(4名)、ベトナム(2名)、フィリピン(2名)、バングラデシュ(2名)
(b) 派遣期間  2週間〜12ヵ月(平均1ヵ月)
[3] WHO、ILEP等らい関係諸機関との協議、連絡及び調整
a. WHO、ILEP及び海外救らい団体等との協議、連絡
(a) 調査場所  スイス、イギリス、アイルランド、フランス及びアジア諸国
(b) 協議期間  年6回、平均10日間
(c) 派遣人員  6名
[4] らいに関する基礎及び実地研究
a. らいの化学療法に関する国際共同研究(実施国:タイ)
(a) 実施場所  タイ国:クジ・プラチャ・サマサイらい研究所 (バンコク)
プラパダンらい療養所       (バンコク)
笹川記念研究施設         (ノンタブリ)
ノンソンブンらい療養所      (コンケーン)
その他地域保健センター
(b) 研究内容
イ. 研究課題   PCR法によるらいの早期発見に関する研究
オフロキサシンのらいに対する治療効果の研究
ロ. 対象患者数  90人
b. 化学療法共同研究運営委員会
(a) 開催名称  平成6年度第1回化学療法共同研究運営委員会
(b) 開催場所  日本・東京
(c) 開催期間  平成6年11月 2日
(d) 参加人員  タイ(6名)
日本(2名)
[5] 薬品供与
a. アジア、アフリカ等に対する薬品供与
 近年当財団が強化しているらい複合療法(MDT)をさらに推進し、らい根絶のためにMDT実施国を中心に治らい薬の供与を行った。
(a) 対象国  ブラジル、ナイジェリア、ミャンマー、ザンビア、ネパール、インド、パプアニューギニア、インドネシア、ギニアビサウ、エチオピア、ガーナ
(b) らいに関する広報啓蒙活動
a. パンフレットの作成
 適当と思われるらいに関する啓蒙用図鑑及び啓蒙用小冊子を英文または邦文で作成し、国内外の関係者に配布した。
b. ビデオ・カセット教材購入
 既に外国で制作されているらいに関する図書を購入し、一部は財団用として保管するとともに他は国外の関係者に視覚教育用資料として提供した。
[7] らい制圧に関する世界会議(於 ベトナム)
a. 開催期間  平成6年7月4日〜7月7日
b. 開催場所  ベトナム・ハノイ
c. 参加者   アフリカ地域(19名)、アメリカ地域(6名)、中近東地域(5名)、東南アジア地域(12名)、西太平洋地域(13名)、NGO代表(11名)、専門家(11名)、WHO事務局(15名)、当財団(5名)
(2) アジア、アフリカ等における寄生虫症対策研究および援助
[1] 技術者研修
a. 日中寄生虫予防研修(於 日本)
 中国においては未だに高率に蔓延している回虫や鉤虫などの腸管寄生虫の予防に関し、戦後わが国で行い著しい成功をおさめた寄生虫予防の諸経験を伝えるため、中国の行政または研究機関の専門家を招き、予防対策の実践方法につき幹部指導者としての研修を行った。
(a) 財団法人 日本寄生虫予防会委託
イ. 研修場所  日本(東京、長野)
ロ. 研修期間  平成6年6月27日〜7月11日
ハ. 研修人員  中国 8名
(b) 筑波大学[医生学教室]他専門家研修
イ. 研修場所  筑波大学、東大医科学研修所、他
ロ. 研修期間  平成6年11月22日〜12月9日
ハ. 研修人員  中国 3名
b. 海外寄生虫技術者研修(於タイ)
 東南アジア諸国の寄生虫予防対策の発展向上に資するため、各国の行政、民間機関の寄生虫対策担当者をタイ国に集め、予防対策に関する学術的、技術的知識の修得を図り、さらに各国間の経験交流を通じて、より効果的な実施方法の検討を行い、幹部指導者養成のため研修を行った。
(a) 研修場所  バンコク、ナコンシタラマ県
(b) 研修期間  平成6年11月14日〜11月26日
(c) 研修人員  ブータン(2名)、インドネシア(3名)、マレーシア(2名)、ネパール(3名)、フィリピン(4名)、スリランカ(2名)、ベトナム(2名)、カンボジア(2名)、ラオス(2名)、タイ(6名)、ザンビア(1名)計 29名
[2] 現地技術協力
a. アジア、アフリカ等における技術協力
(a) 派遣国   中国、フィリピン、ラオス、中央アフリカ
(b) 派遣期間  平均約25日間
(c) 派遣人員  中国(3名)、フィリピン(4名)、ラオス(3名)、中央アフリカ(3名)計 13名
[3] 薬品機材供与
a. アジア、アフリカ等に対する薬品機材供与
寄生虫症対策技術協力に必要な医療関連物品を供与した。
(a) 対象国  フィリピン、中央アフリカ
(b) 品目   プブラジカンテル、コンバントリン、卓上遠心機等
■事業の成果

WHOは、既に1991年の第44回世界保健総会の席上、らいを今世紀中に公衆衛生上、危害を及ぼさない疾病にする旨の宣言を行っている。
 本年度は、この宣言を受け、らい制圧のための世界会議をベトナム・ハノイにおいて開催した。そこでらい蔓延国の代表が一同に会し、西暦2,000年までの残された期間を各国の実情に応じてMDTを推進してゆくことで合意を得、政府のコミットメントを明確にした上で、らい制圧に向けての「ハノイ宣言」を採択するに至った。これらの状況のようにらい制圧を目指して、設立以来今日まで、20年間国際協力を推進して来た当財団にとって、その成果が着々と実を結んで来ていることは大変意義深いことであると言える。今後もさらに協力を推進し、この大変重要な時期に備えて行きたいと考えている。
 寄生虫症対策は、従来の協力国にラオスを加え、新にメコン川流域地区の住血吸虫間宿主貝の調査を開始した。
 以上世界には未だ解決できない幾多の保健問題が残されているが、当財団の多岐にわたる継続的な協力事業を通じて世界の人々の保健福祉の向上に寄与したものと思われる。





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