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■事業の内容

(1) 危険物のコンテナへの収納及び固定方法に関する試験研究
 危険物コンテナ収納マニュアル検討部会を設立した。部会を開催し、マニュアル作成の資料とするための危険物を収納したコンテナの模型実験実施計画等を検討した。部会委員が危険物のコンテナ収納実態を認識するため収納現場を見学した。実験については、模型コンテナ及び典型的な危険物用容器である模型ドラム並びに試験装置一式を作成し、急停止、振動及び落下衝撃試験を実施した。コンテナ内のドラムの挙動を計測し、そのデータを解析し、安全な固縛固定方法等を追及するための基礎資料を試験報告書にとりまとめた。
 試験報告書及び検討部会の検討事項を本調査研究事業初年度の中間報告書としてとりまとめ、上部委員会である危険物評価委員会に報告し承認を得た。
(2) 危険性評価基準作成のための試験研究
 IMDGコード試験実証部会を設立した。部会を開催し、事業の実施計画の詳細について検討するとともに、危険性評価基準の対象となっている物品に深く関係する業界団体等から専門家を部会委員として参加させるとともに、業界団体等から提出された詳細な実証試験結果を部会において検討し、危険性評価試験実施上の問題点を抽出し対策を検討した上で、危険性評価試験基準案としてとりまとめ、実証試験結果とともに報告書の一部とした。上部委員会である危険物評価委員会に報告し承認を得た。
■事業の成果

危険物のコンテナヘの収納及び固定に関する調査研究においては、近年、貨物コンテナ複合一貫輸送が増大しており、従来に比し輸送中のコンテナに複雑な力が作用することとなった。仕出地を出発したコンテナは、一般的には最終目的地に到着するまでそのドアが開かれることはない。したがって、ひとたびコンテナに収納された危険物の安全は、ひとえに最初の収納状態によって左右されるといっても過言ではない。このような状況に鑑み、危険物コンテナ収納マニュアルの存在が世界各国において認識されはじめている。本事業においても、危険物コンテナ収納マニュアルの策定を目的として、本年度は、振動、落下及び衝撃試験を行い貴重な基礎資料を得た。これら基礎資料を検討することにより、危険物コンテナ収納マニュアル策定に必要な資料を得るため、さらに実験をすすめ確認すべきことを整理した。
 また、さらに危険性評価基準作成のための試験研究においては、危険物船舶運送及び貯蔵規則に記載される物品の中に、IMDGコード(国際海上危険物規程)に試験要件が記載されているが、同規則では未だ具体的な試験方法基準が確立されていないものがある。本事業てば、将来的に危険物船舶運送及び貯蔵規則にそれらの試験業準を採用する場合の業礎資料を得るため、炭素・活性炭、硝酸アンモニウム肥料、リチウム電池等についてIMDGコードに記載されている試験方法を実証し、具体的試験実施上の問題点を洗い出した。実証試験の結果を、IMDGコード試験実証部会において検討し、一部の試験方法を除き、将来国内規則に採り入れる場合に資するための試験基準案を作製した。これら案は今後の危険物安全運送基準策定上に十分資するものである。
 以上のことから、本事業により得られた結果は、常用危険物のより安全な取り扱いの検討、常用危険物の安全運送に寄与するものと思料される。





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