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「船用品の整備技術に関する調査研究」の報告書

 事業名 船用品の整備技術に関する調査研究
 団体名 日本船舶品質管理協会  


■事業の内容

(1) いかだ自動離脱装置の整備に関する調査研究
 本装置は、いかだ本体とともに暴露甲板上に取り付けられ常時苛酷な自然環境にさらされているが、一旦海難事故が発生した場合、装置が確実に作動し、初期の機能及び性能が発揮できるよう保守整備されていなければならない。
 このため、サービス・ステーションで実施されている現行の外観点検及び作動圧力試験方法等を調査研究し、各型式の装置の構造に適した点検整備要領を確立するための知見を得ることとした。
[1] 供試品
 現在、船舶のいかだとともに取付けられている型式承認を受けた我国4社、1O型式の自動輪離脱装置につき、サービス・ステーションでの点検整備で不合格となった総計60個を供試品とする計画であったが、10型式のうち、使用実績等より回収困難な型式のものがあったため、最終的には9型式、総計60個を回収し、供試品とした。
 委員会において、供試品の選定方法等(経年別、船舶の大きさ・種類・航路別)が検討されたが、不合格供試品の回収という制約と時間的制限があったため、型式別の必要個数の回収を最優先させることになった。
[2] 試験項目及び方法
a. 外観調査
 本体の外部について、腐食発錆、異物の付着、浸水孔のあき具合等の外観を調べる。
b. 水圧作動試験(開放前)
 整備前の各供試品の作動圧力を、自動離脱装置試験機(セントラル社製)を用い計測する。
(試験荷条:200kgf他し、水圧作動試験の基準値は0.20kgf/cm2〜0.40kgf/cm2)である。)
c. 開放調査
 各製造者より提案された範囲までの分解及び整備を行い、供試品の内部の状況を調べる。その際、水圧作動試験不合格の原因を推定し、必要と思われる整備を行い、その後組み立てる。
d. 水圧作動試験(組立後)
 開放試験において整備された各供試品の作動圧力を、自動離脱装置試験機を用い計測する。
[3] 試験結果
a. 外観調査
 隣接船体部分への塗装時に供試品に付いたと思われる塗料の付着がいくつかの供試品にみられた。又、若干の発錆や保護カバーの脱落等の供試品もいくつかあったが、機能を害すると思われるほどのものは見られなかった。
b. 水圧作動試験(開放前)
 各サービス・ステーションで計測した回収時の作動圧力と整備前の作動圧力を比較すると、いくつかの例において整備前の作動圧力が回収時よりも低下していることがわかる。このことから、繰り返し作動試験を実施することにより作動を阻害していた付着物等が取り除かれ作動圧力が低下する場合があることが推察される。
c. 開放調査
 各供試品に対し、各製造者より提案された分解及び整備方法に従い分解した。規程の圧力で作動しない原因の多くは作動主軸に付着した塩塵や錆と思われたので、それらをサンドペーパー等を使用し除去した。また、レバー等の各作動するよう必要な外観点検及びゴミ等の除去を行った。
d. 水圧作動試験(組立後)
 分割整備を終了した供試品について、再び水圧作動圧力を測定した。それらの作動圧力が基準内に入った場合は、整備の効果があったと判断し、該当欄に○、そうでない場合は×を記入した。
 整備後の作動試験における不合格品10個について詳細な調査を行った結果、C-3型(経年14年のもの)については、いずれもダイヤフラムに亀裂が発生しており、これが不作動の原因と考えられる。
 MJ-5型(経年12年13年のもの)については、ダイヤフラムゴムの硬化、及び変形が観察されたため、比較的新品に近いと思われるMJ18型(ダイヤフラム自体はMJ-5型と共通)供試品No.7(経年1年)のダイヤフラムと交換して再び作動圧力を計測した。その結果0.36、0.38kgf/cm2の合格数値が得られたので、MJ-5型の供試品No.1〜No.5の不合格の原因もダイヤフラムの劣化によるものと推定される。
[4] 考察
a. ダイヤフラムの劣化について
 過去の当協会での調査研究(昭和62年度自動離脱装置の経年劣化に関する調査研究)において、ダイヤフラム膜の劣化が指摘され、製造後8年〜10年での交換が望ましいとされている。今回の試験において、整備後においても不合格となった原因が、いずれもダイヤフラムゴムの劣化によると考えられ、これより不合格品がいずれも製造後12年から14年のものであることから、点検整備要領を検討するにあたり、安全のための余裕をみて、製造後10年を越える場合は、ダイヤフラムの経年劣化を十分考慮に入れることが重要と考えられる。
[5] 点検整備要領の検討
 供試品MJ-5及びMJ-81については、ダイヤフラム組入後の気密室内の空気量の調整が微妙な操作を伴うため、製造者提案の方法を点検整備要領として採用するには問題があると思われた。検討の結果、要領案としては、ダイヤフラム開放は行わず、それ以外の部分の分解整備を行うこととした。
 他の型式の供試品については、各製造ものの原案をもとに次の方針を決めた。
a. 分解及び整備内容の表現をできるだけ統一する。
b. 整備にあたり、ゴム製のダイヤフラムを劣化させないため、薬品、油類はなるべく使用しないこと。
c. ネジを締め付けにあたっては、均一なトルクで締めることが重要なため、電動ドライバの使用が望ましい。
d. 製造後10年以上経過したもので、整備前の作動試験に不合格のものは、その原因がダイヤフラムの劣化によると考えられる。そのため、ダイヤフラムを交換しない限り、分解整備しても合格する可能性が低いと考えられることから、それらについては、分解整備は行わずに新替えすることが望ましい。
■事業の成果

膨脹式救命いかだ用自動離脱装置は、いかだ本体とともに暴露甲板上に取り付けられ、常時苛酷な自然環境にさらされている。最悪の事態に陥った場合、同装置が有効に作動し、常に初期の機能及び性能が発揮できるよう保守整備されていなければならない。
 このため、本事業では現在サービス・ステーションにおいて行われている外観点検及び所定の作動圧力試験の見直しを実施し、各型式の自動離脱装置の構造に適した整備方法を確立した。本事業により、安全性の向上及びユーザーに対する経費の節減が図られるものと思われる。





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更新日: 2020年3月21日

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