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■事業の内容

本事業においては、ワンマンコントロールが可能な内航船の操舵室等のモックアップを製作し、試設計の成果の確認を行ったとともに広報活動を積極的に実施した。

(1) 試設計
[1] 平成4年度の調査・研究結果をもとにして、航海の安全性の向上及び船員労働軽減のために内航近代化船が装備すべき設備、システムについて標準的な注文仕様書を作成し、本仕様書を満足する製品の市販可能時期及び価格の調査を行った。
[2] 上記調査に基づき、平成7年度建造を想定した499GT型貨物船の建造仕様書の作成を行った。
[3] ヒューマンエラーの排除を目的としたコックピット機器の機能・操作方法の標準化案を策定し、今後建造される内航船への適用を提案した。

(2) 経済性の検討
 前記499GT型貨物船の近代化船建造仕様書に基づいて、建造船価を算定し、14年間の運航費用を試算して、従来型仕様の船との経済性の比較検討を行った。

(3) モックアップの製作、広報活動の実施
 本研究内容を実船並のモデルで実地検証するため、コックピット型操舵室及び船員室のモックアップを製作し、下記都市において移動展示会及び講演会を実施した。併せて同研究成果に関するアンケート調査を実施した。
横浜、清水、神戸、日生、今治、北九州、唐津、広島
* 人にやさしい内航近代化船  講演会・展示会入場者数
平成5年11月10日  横浜会場   300名
11月13日  清水会場   150名
11月15日  神戸会場   450名
11月17日  日生会場   250名
11月19日  今治会場   250名
11月22日  北九州会場  250名
11月24日  唐津会場   150名
11月26日  広島会場   350名
合計   2,150名
 また、広報資料としてビデオ、パンフレット、報告書普及版等を作成し、全国の内航海運関係者に配布した。

(4) 試設計図書・広報資料等の作成
下記図書及び広報資料を作成した。
[1] モックアップ製作仕様書
[2] 499GT型貨物船建造仕様書
[3] 平成5年度研究報告書
[4] 「人にやさしい内航近代化船」講演会・展示会パンフレット
[5] 同上ポスター
[6] 「内航近代化船」ビデオ
[7] 報告書普及版

(5) 委員会の開催
内航船の近代化に関する研究委員会  3回
■事業の成果

平成4年度に実施した研究・結果に基づき、近代化設備の製品化状況の調査、及び安全性向上策の提言等を行い、最も代表的な内航船である499GT型貨物船についてその仕様を確定、建造仕様書を作成して、近代化船の建造についての技術的問題をクリアーした。また、近代化船の運航採算について試算を行い、近代化設備を増加させても従来船に比べて採算性が劣らないことを確認した。
 以上の成果を、全国の海運・造船関係者に実際に見聞してもらうため、実物大模型の移動展示会、講演会を開催し、本研究内容をまとめたビデオの上映やパンフレット等を広く造船及び海運関係者に配布して、内航近代化船の内容の普及、イメージアップを図った。このことにより、魅力ある内航船及び内航船の職場環境を提示し、海運関係者等に対し新しい内航船のイメージを提示でき、内航船員の確保に寄与し、内航海運の安定化、並びに造船技術の振興、我が国造船業の発展に大いに貢献するものと思料される。





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