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■事業の内容

[1] 海洋法条約検討委員会における調査研究
a. 委員会開催回数            10回
b. 構成メンバー   学者側委員、官庁側委員等
c. 検討内容
 海洋法条約の各条項のうち海上保安業務を遂行するうえで密接な関連を有する事項について、現行国内法制における問題点を抽出し、当該国内法制の整備に係る具体的な調査研究を実施した。
d. 現行国内法制における問題点
イ. 領海における無害でない運航の具体的な定義及びそのような運航を行っている外国船舶に対してとり得る一般的措置・罰則等。
ロ. 海上保安官(補)の一般的な執行権限(停船命令、臨検、だ捕、抑留、継続追跡等)。
ハ. 公海における国際条約上の犯罪行為(麻薬取引、海賊行為等)を行った外国船舶に対してとり得る一般的な措置及び手続き等。
[2] 事業報告書の作成・配布
 調査・研究した事項については、事業報告書として取りまとめ、海上保安庁の機関をはじめ下記の関係先に配布した。
a. 規格   B4判
b. 部数   300部
c. 配布先  海洋法条約検討委員会委員、海上保安庁関係機関
外務省、運輸省
■事業の成果

海洋法条約検討委員会は、本年度は、第3期を迎え、従来6社に及ぶ検討成果を基礎に、さらにこれを発展させ整備すべく年10回の報告・討議を重ねた。
 この目標は、新海洋法秩序と海上保安法制との関係について、実務上の問題点と直接関連づけながら、諸外国の立法・解釈適用上の諸措置を参考にして、海洋法条約の関連規定に関するわが国としての解釈を確定し、これを担保するためのわが国内法制の整備の方向に指標をあたえることにある。
 具体的には、検討項目として、海賊行為の取締、無害でない外国船舶の通航、外国船舶に対する立ち入り検査の限界と海上保安庁法第17条等との関係、接続水域、排他的経済水域等に歩ける密航船の取締り、汚染回避のための沿岸国による執行のありかたを選んだものであるが、これらの項目はいずれも現実に緊急の解決を求められる重要問題であり、委員会においでは、官側委員から実務上の事例の処理ぶりと問題提起があり、この事に対して学者側委員が内外の先例・実行・学説を紹介し論点を深めた。中には、2回にわたり報告・討議を継続して問題の焦点の明確化をはかった検討項目も少なくなかったが、最終回には、年間にわたる重要項目を整理して。包括的な検討をおこなった。
 国連海洋法条約も、採択後12年近くを経てようやく本年11月に発効することとなり、わが国にとってもその批准問題が具体的な日程にのぼっているところである。このことから、本事業の持つ役割は緊急を要する国内法を整備する上でも重要な位置づけが成されるものであると思料される。





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