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■事業の内容

[1] RI発電システムの検討・設計
 昨年度実施した発電システムの概念設計の性能向上のため、更に詳細の検討を行った。
a. 熱電気発電システムの概念設計
 小型有人潜水船に対する要求性能に基づき、特に熱源部、遮蔽部の改良設計を行い、性能向上、重量軽減の検討を行い母船上での取扱いを含むシステム全体の検討、全体構造図を作成して、性能評価を行った。
b. 熱電子発電システムの概念設計
 無索無人潜水船に対する要求性能に基づき、特に熱電子変換部構造熱源部、遮蔽体の寸法、形状について検討を行い軽量化を図り、発電出力について性能評価を行った。
c. 熱機関発電システムの概念設計
 大型有人潜水船の要求性能に基づき、最も有利なスターリングサイクルの熱機関について熱源部、遮蔽部、冷却水、電気系統の詳細設計を実施し、また、耐圧殻の検討により軽量化を図り、性能評価を行った。
[2] 要素試験
a. 熱電気発電システムの要素試験
 昨年度製作した熱電気変換部部分ユニットを用い、熱電気発電システムの性能評価試験を行った。それにより電気出力、電気抵抗、内部温度分布を計測し、発電効率について当初計画の性能が得られたことを確認した。
b. 熱電子発電システムの要素試験
 熱電子変換部について、単体性能試験用の熱電子素子、及び試験を実施するための電気加熱装置、冷却装置、真空装置、計測制御装置などの試験装置を設計製作した。それにより、熱電子素子単体の発電性能、耐熱性能及び絶縁性能試験を実施して、当初計画した性能が得られたことを確認した。
[3] RI発電システムを用いた概念設計
a.小型有人潜水船の概念設計
 熱電気発電システムを小型有人潜水船“しんかい6500”に適用した場合を前提に、電源システム系統、RI発電システム周辺装置及び重量等の増加及び支援母船上での取扱い等を考慮した小型有人潜水船の概念設計を実施した。
b.無索無人潜水船の概念設計
 熱電子発電システムを6,000m級深海調査船EPAULARDに適用した場合を前提に、性能向上、重量軽減、配置変更を行った無索無人潜水船の概念設計を行った。
■事業の成果

本研究は長寿命、メンテナンスフリー、低騒音の特徴を有するRI発電システムを潜水調査船等に使用するために必要な調査研究を実施し、もって海洋開発の効率化に寄与することを目的とした3ケ年計画の最終年度である。その成果の概要を要約すると、
(1) RI熱源(核種)
 核種として半減期が長いこと(長寿命)、出力密度が高いこと、γ線や、中性子線の放出がないこと等の観点から90Srと238Puを選定した。
 238Puは核燃料物質としての問題もあるので、遮蔽対策を必要とするが当面90Srを第1候補とし、遮蔽効率をあげるため90Sr+BN焼結体方式が提案された。
(2) RI発電システム
 RI発電システムは、熱電気発電システム、熱電子発電システム、熱機関発電システムの三方式について概念設計を実施した。
 熱電気発電システムは、小型有人潜水船を想定して8KW(2KW×4set)、熱電子発電システムは、無索無人潜水船を想定して7KW(3.5KW×2set)、又熱機関発電システムは大型有人潜水船を想定して60KW(30KW×2set)を各々ベースとして、システム全体について検討して、重量、大きさ、遮蔽など実用の可能性を確認した。
 熱電気発電システム、熱電子発電システムについては出力規模数10Wの要素実験を行い発電性能を確認した。
(3) RI発電システムを搭載した潜水調査船等
 小型有人潜水船、無索無人潜水船、大型有人潜水船を対象に遮蔽の検討、運航パーターンの検討、ハンドリング(陸上輸送、搭載、揚収、保管等)の詳細検討を行って、全体システムの規模等を明らかにし、概念設計を実施した。





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