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■事業の内容

(1) 調査の方法
 本年度は2年計画の最終年度に当たり、前年度に実施した基礎的事項の調査研究の成果を基に、超高速船が輻輳海域で交通流に及ぼす影響とその対策について、下記のとおり調査研究を実施した。
[1] 委員会による検討
a. 学識経験者、関係団体及び関係官庁等で構成する「超高速船航行安全調査研究委員会」及び「作業部会」を開催して、次の事項について検討した。
(a) 委員会
イ. 第1回委員会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 本年度事業計画案について
(ロ) 本年度調査研究方針案について
(ハ) その他
ロ. 第2回委員会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 作業部会における調査研究の進捗状況について
(ロ) 本年度報告書骨子案について
(ハ) その他
ハ. 第3回委員会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 本年度報告書案について
(ロ) その他
(b) 作業部会
イ. 第1回作業部会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 具体的調査研究方針について
(ロ) その他
ロ. 第2回作業部会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 本年度作業の進捗状況について
(ロ) その他
ハ. 第3回作業部会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 本年度作業のまとめについて
(ロ) その他
ニ. 第4回作業部会を開催して、次の事項について検討した。
(イ) 本年度事業報告書案について
(ロ) その他
[2] 委託研究
 「海上交通流シミュレーション」及び「ビジュアル・シミュレータでの確認実験」に関して、委託して実施した。
[3] 研究依頼
 「輻輳海域における超高速船の安全航行に関する調査研究」の各専門分野について、7名の委員に研究を依頼して実施した。
[4] 海外調査
 香港におけるジェットフォイル船運航の問題点及びその解決策について、香港政庁関係者にヒアリングを行うとともに、ジェットフォイル船の運航状況の視察を行い調査研究の向上を図った。
a. 調査期間:平成4年6月23日〜25日
b. 場所  :香港、マカオ
c. 調査員 :2名
(2) 調査項目及び内容
 2年計画の最終年度として、下記のとおり実施した。
[1] 超高速船が交通流に影響を及ぼす範囲とその程度に関する検討
a. 超高速船海上交通シミュレーションの実施
 操船シミュレーターを用いて、航行環境〜操船者〜船の相互関係を調査して得られた成果を組み込んだ高速航行シミュレーションモデルを開発した。輻輳海域における高速航行シナリオとして神戸沖を模擬した海域を想定し、この海域を南北に横断する場合についてシミュレーションを実施した。
b. ビジュアル・シミュレータでの確認実験
 高速航行シミュレーションを用いて実施したシナリオのうち、典型的な運航体制のもとで安全航行できるかどうか検証した。
[2] b. 上記(a)の影響を解決するための航行安全対策の検討
(a) 航法(航法規定の検討も含む)
 現在の海上交通法規の現状と高速航行との関係を法的に詳細に検討して問題点を提起した。
(b) 航行援助施設、航海当直業務等
 高速航行するために必要な、航行援助施設として、陸上に支援センターを設置して情報提供、航行支援をすることが重要であり、その概念を提供した。当直業務に関連した視点から操船者の注意力の持続及び疲労について検討し、今後の調査研究の必要な分野とその方法論を提起した。
[3] c. 超高速船の航行安全に関する資料の収集、整理並びに輻輳海域における超高速船運航に関する海外視察
 香港の“FAR EAST HYDROFOIL Co,Ltd.”を視察した。
 乗船調査は、大阪〜高松(加藤汽船)、佐藤〜新潟(佐藤汽船)及び香港で行った。 
 今年度の資料としては、香港におけるフェリー(超高速船を含む)にいするVTSを英文和訳したものを付加した。
(3) 報告書の作成
調査研究結果を取り纒め、報告書を作成した。
[1] 部数:80部(コピー製本)
[2] 配布先:委員、関係官庁、その他
(4) 委員会の開催
[1] 超高速船航行安全調査研究委員会  3回
[2] 同作業部会            4回
■事業の成果

海上交通の高速化に対する社会的な必要性と要望が強くなってきていることを背景にして、本調査研究は輻輳海域における高速船の安全航行について2年間にわたって検討したものである。高速航行シミュレーションモデルを作成し、交通流の整流効果を定量的に評価できるようにした。本調査研究により高速航行状況を安全性の面から評価する方法を提案した。このことにより航行安全対策の立案及びその効果の評価をすることができる。また、具体的な航行安全対策として海上交通法規及び航行援助施設の見直し及び運航体制のあり方について提案した。高速航行に伴う航行安全対策は、その海域の航行環境の特徴に応じたものでなければならない。その意味で本調査研究の成果が有効に利用されることが強く期待される。





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