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■事業の内容

(1) 船舶排ガス用NOx排出濃度補正式の検証
 ディーゼルエンジンのNOx排出濃度には、温度、湿度、気圧等が大きな影響を及ぼすため、標準状態への補正が必要である。実験機を用いて、これらの要因による既存のNOx排出濃度補正式を追試した。
(2) 船舶排ガス中SPM濃度の測定
 直接法及び部分希釈法を用いた通常負荷時のSPM(Suspended Partic1e Matters:浮遊粒子状物質)濃度の測定を船舶技術研究所において、中型4サイクルエンジンを用いて行い、両者の関係を整理し検討した。
(3) 舶用エンジンの負荷別運航実績の調査
 負荷別運航実績について聞き取り調査により、東京湾内を航行する船舶について60隻近いデータを取得した。全体としては、ばらつきが大きく特に法則性は見られていないが、船種や船型ごとに今後使用できる基礎資料として整理しとりまとめた。
(4) 舶用エンジンのテストサイクル試案の作成
 舶用主機エンジンの負荷別運航実績の成果を東京湾内での運航に即したサイクルパターンとして整理し、ISO(International stndard Organization:国際標準化機構)案を考慮した上で、実際の船舶運航に即しかつエンジンの代表値となるようなテストサイクルを船種別に作成した。
(5) 大気汚染物質低減対策実施手法の検討
 従来陸上で使用されている排ガス測定法の全般について文献調査を行い、各測定方法の特徴をまとめた。また、上記の測定結果、NOx濃度補正式、テストサイクル等の成果を踏まえ、船舶排ガス中に含まれる大気汚染物質の「現状レベル」の把握手法及びその低減対策実施手法について検討を行った。
(6) 委員会の開催
 船舶排ガスからNOx 等測定標準調査研究委員会  4回
■事業の成果

本事業では、船舶排ガス用NOx排出濃度補正式の検証、船舶排ガス中SPM濃度の測定、舶用エンジンの負荷別運航実績の調査、舶用エンジンのテストサイクル試案の作成した。これらの結果を踏まえ、大気汚染物質低減対策実施手法を検討するとともに、船舶排ガス中に含まれる大気汚染物質の計測手法として、船上での排出濃度の測定方法及び測定機器等の提案をとりまとめた。これにより、地球環境の保全並びに、造船技術の振興及び我が国造船業の発展に大きく貢献するものと思われる。





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