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■事業の内容

膨脹式救命いかだがその目的を達するためには、安全にかつ確実に海面に投下されなければならない。そのためには格納容器(いかだコンテナ)内のいかだ本体は常にコンテナ内に正常に収納されていると同時に、コンテナもまた架台の正しい位置に設置されていなければならない。
 近年、大型化したいかだ重量は400kgにも達するものがある。重量が重いと人手で所定の位置への積み付け調整作業は困難であるとともに、正確さを期し難い。
 このため、これらいかだを安全かつ容易に移動でき、整備されたいかだを所定の位置へ正しい状態に積み付けることができる軽便な装置を架台とも関連させた試作品により各種試験を実施して、脱着装置の実用化のための実用設計図を作成し船用品整備技術の向上を図ることとした。
[1] 試設計
 いかだの整備作業の安全性向上及び効率化を増進するため、大型いかだ(410kg)を保持し、架台とも関連させて容易かつ自在に移動可能な脱着装置一式を試設計した。
[2] 供試品
 試設計に基づいて試作された、いかだ脱着装置一式を供試品とした。
[3] 試験の種類
 供試品について、次の試験を行った。
 a. 耐荷重試 b. 急停止試験(走行試験及びブレーキ試験、荷重吊り状態急停止試験) c. コンテナ固定試験(いかだ積付け積降ろし試験) d. 操縦性試験 e. 脱着試験(いかだ積付け積降ろし試験)「実船上にて」
 なお、実船上では陸上試験とほぼ同種類の試験を実施した。
 (注)括弧内は、委員会で名称変更した試験名
[4] 実用設計
 船上試験で収集した資料を検討のうえ、実用設計図を作成した。
■事業の成果

本事業は、近年、膨脹式救命いかだが大型化、重量化し、整備されたいかだが決められた位置に正しく設置する装置等の実用設計図を作成するために調査研究を実施した。 
 調査研究の結果、試作品により、陸上及び船上において各種試験を実施し、試験で収集した資料をもとに実用設計図を作成するための調査研究報告書をまとめることができた。
 これらの成果は、サービスステーションが船上において本装置を活用することにより、いかだを所定の位置に適確に設置することができ、整備技術の向上に貢献するものと考えられる。





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