■事業の内容
(1) 海外動向調査 [1] 祝察団派遣による情報収集 a. 視察対象国:ポーランド、チェコスロバキア及びブルガリア b. 視察期間 :平成3年9月9日〜9月20日(12日間) c. 視察訪門先:〔ポーランド〕 1) CENTROMOR S.A. 2) Gdansk Shipyard S.A. 3) ABB Zamech 4) H.Cegielski 〔チェコスロバキア〕 5) CKD HRADEC KRALOVE A.S. 〔ブルガリア〕 6) KORABOIMPIX 7) Georgi Dimitrov Shipyard(Varna Shipyard) d. 視察団の構成: 団長 (株)赤阪鐵工所 代表取締役社長 赤阪 忍 副団長 (社)日本舶用工業会 専務理事 安藤 久司 団員 阪神内燃機工業(株) 代表取締役社長 木下 武 〃 (株)シンコー 取締役副社長 筒井 幹治 〃 西芝電機(株) 船舶海洋電機部 部長 金治 康男 〃 (株)新潟鉄工所 原動機事業部実験研究部長 田辺 久夫 〃 (株)トキメック マリンシステム事業部次長 蒲谷 正彦 団員 ダイハツディーゼル(株) ヨーロッパ社長 備前 武一 〃 (株)日本製鋼所 鉄鋼素材第1部 第2グループ 課長 谷田 康則 〃 三菱商事(株) 船舶・鉄構部主事 舶用機械チーム 村瀬哲生 〃 ジェトロ・ ロッテルダム 駐在員 磯谷 實 〃 (社)日本舶用工業会 海外調査部 部長代理 神田 忠昌 合計 12名 e. 視察結果: ○ 訪問3ケ国の主要舶用工業、造船所及び公団等の実態の把握 ○ 訪問3ケ国とのビジネス・チャンスの開拓 ○ 懇親会を通じての人脈の開拓による連絡、交渉先の把握 [2] 自主調査による情報収集 a. 調査対象国:インドネシア b. 調査内容 :舶用機械、経済、海運、造船及び漁業に関する各国別動向調査 c. 調査結果の概要: ○ インドネシアは島諸間輸送が活発であり、第5ケ年造船振興政策期間の海上輸送需要は毎年4〜6%の増加を見込み。 ○ チャラカジャヤ(標準的内航船建造計画)の3,000DWT型貨物船56隻、ミンジャヤ計画(標準的漁船建造計画)の実施に向けて、主要造船所の設備整備。 ○ チャラカジャヤ、ミンジャヤ計画により多数の新造船建造計画が予定されており、日本からの舶用機械の大幅な伸びを期待。 (2) 新興造船国にかかる資料収集 [1] 名称 :新興造船国調査報告書(韓国) [2] 調査方法:ケイアールシーへ委託し、韓国の舶用機械及びそれを取り巻く経済、海運及び造船に関する情報を収集 [3] 仕様 : a. 規格 :B5版 b. 発行回数:年3回 c. 発行部数:200部 [4] 調査概要: ○ 韓国の大手四大造船所(現代重工、大字造船、三星重工、韓進重工)及び中手三社(漢重工、大鮮重工、大東造船)の財務内容 ○ 韓国造船の現況 a 労働争議 b 労働法 c 新造船の受注実績 d 個別企業の動向 ○ 韓国の舶用機械工業の実態調査 a 専門メーカー育成の遅れ b 鋳物産業の現況 c 輸入先多辺化品目 d ディーゼル機関 e 対日輸出メーカー f 韓国造船機資材工業協同組合 g 造船所が舶用機器生産 ○ 韓国の政治・経済情勢
■事業の成果
(1) 本事業の成果 長期に互る世界の海運・造船不況は回復してきておりますが、わが国の舶用機械業界は、造船不況の痛手から完全に立ち直っておらず、また、雇傭問題が益々深刻化しており、経営状況は決して楽ではありません。 加えて、ドイツ統一に端を発した東欧諸国の自由経済体制への移行、ソ連の政治・経済の混乱、1992年のEC市場統合問題と世界経済は大きく変貌しつつあります。これらの状況を反映して、舶用機械の貿易に対する将来については不透明感が強く感じられます。 一方、新興造船国では自国産業育成策と国際収支改善策から輸入規制を強化しており、貿易依存度の強いわが国舶用機械メーカーとしては、極めて厳しい環境下にあります。 そのため、当業界としては海外需要を喚起し単体輸出に活路を見出す必要があります。長期的な造船不況はヨーロッパの舶用機械メーカーも日本と同様であり、輸出に活路を求めており、東南アジアをはじめとして各市場でわが国と競合を呈しております。 そこで、当会としては貿易摩擦を回避しつつ、業界の貿易戦略を樹立するに必要な知識及び資料を収集するため、下記の視察及び調査事業を実施しております。 本事業は舶用機械メーカーはもとより造船、その他関係者からも好評を得てきました。 これらの資料並びに結果は、各企業の今後の貿易対象地域の検討及び貿易活動を推進していく上で、重要な資料となると確信しております。 [1] 海外動向調査 本事業は東欧視察団の派遣及びインドネシア調査報告書の作成を実施し、東欧視察団の派遣としましてはポーランド、チェコスロバキア及びブルガリアの3ケ国を視察し、その調査報告書を作成しました。 また、インドネシアの報告書は同国の舶用機械及びそれらを取り巻く経済、漁業、海運及び造船等の資料を収集し、分析した調査結果をまとめたものであります。 これらの調査報告書は関係各界から好評を得ており、わが国の舶用機械メーカーが調査対象国で事業を推進して行く上で、阻害点を除去し、貿易基盤を更に強化し、今後の貿易促進上大きな効果が期待できるものと確信しております。 [2] 新興造船国にかかる情報収集 新興造船国における舶用工業は発展途上にあるが、近年その歩みには目を見張るものがあります。わが国としては、秩序ある貿易を維持するためには、正確な情報を迅速に入手してこれらの変化に対応する必要があります。 このため、当会では新興造船国の変化に対処していくため、昭和63年度より特に変化の厳しい韓国を調査対象国として選び、年3回の調査を実施してまいりました。 これら調査結果は関係各界より好評を得ており、わが国の舶用機械メーカーが韓国で貿易に関連する事業を推進する上で、大きな効果が期待できるものと確信しております。