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■事業の内容

(1) 精密距離測定装置の改造・試作
 昨年度の試作品について、海底における毎時5分間の自動計測・制御・メモリカードIに相関データ、メモリカード<2>に波形データを記録できるデータ収録の諸機構の追加とこれに伴う改造、制御ソフトの修正を行った。
 電源部は鉛蓄電池により構成し、信号ケーブルは破断力1,120kg(実測値)の外径10mmφ、長さ1,500mのケブラ外装同軸ケーブルに、両端水中コネクタ及び架台止め具付の仕様で整備した。
(2) 地殻上下変動観測装置の改造設計
 海底における自動計測・制御・データ収録の諸機構及び諸機能を持たせる改造設計を行い、これに伴う電子回路の改造設計と制御ソフトの修正を行った。
 周波数計測については、周期測定の制度を向上させるため計測クロックを1秒から10秒に改良した。受圧部については、計測範囲の設定を容易にするため差重力式に改良する設計改造を行った。この他、自動計測・データ収録機構の作動について代替品による検討を行い、機能を確認した。
(3) 架台・耐圧容器の改造
 (1)用の架台・耐圧容器についてL型鉄アングルにより箱型フレーム構造で製作し、海底における長期間の使用を考慮してガラス球耐圧容器を選定し、リード線の出入等の加工を施し、製作した。
(4) 海域実験
 精密距離測定装置の送信部及び受信部を、相模湾の実海域、水深約1,120mの海底2点間約500mに、信号ケーブルを接続して設置し、30〜50kHzの音波信号により計測した結果、距離値479.44mを得た。
■事業の成果

(1) 精密距離測定装置
 海底における自動計測・データ収録・制御機能をもたせる改造及び架台耐圧容器の改造と、信号ケーブルの整備を行い、相模湾の実海域における実験の結果、海底の2点間の距離を実際に計測することができた。
(2) 地殻上下変動観測装置
 海底における自動計測・データ収録・制御機能を持たせる改造設計と、自動計測制御及び収録機構、機能の確認を行った。
 以上の今年度の結果を踏まえて次年度以降、精密距離測定装置については、ケーブルに対する水中着脱コネクタの取付・加工及び電源の整備と地殻上下変動観測装置については、残りの設計・試作と更に1台の製作により、全システムの完成と実海域における評価試験を行える見通しが得られたものと思われる。





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