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■事業の内容

本年度は、ヨーロッパに実在する屋根付船台の実態調査(フィンランドのマサ造船所及びドイツのマイヤー造船所)を行い、あわせてドーム型船台のイメージイラストを作成した。
(1) 調査員募集
調査員の募集を行った。
調査派遣予定期間:6月29日〜7月9日
募集人員:1名
(但し本補助事業の他に一般事業による調査員9名を加えて10名)
(2) 委員会の開催
[1] 第1回委員会(5月23日)
 審議結果は次の通りである。
a. 調査日程・訪問先:6月29日〜7月9日の11日間の日程とし、ヘルシンキ市のマサ造船所(旧ワルチラ造船所)及びパーペンプルグ市のマイヤー造船所とした。
b. 調査項目   :総括、建設関係、土木関係の17項目について調査を実施することとし、各項目について審議した。
c. 調査員派遣  :6月29日〜7月9日(11日間)の日程で、調査員2名を派遣した。
第2回委員会(10月24日)
 欧州におけるドーム型船台の実態調査の資料について審議検討し、わが国におけるドーム型船台のイメージイラストについて検討した。
第3回委員会(12月11日)
 日本に導入する際のドーム型船台について審議検討し、イメージイラストの原案について検討した。
第4回委員会(3月5日)
 日本におけるドーム型船台について審議検討し、納品されたイメージイラストについて最終確認した。
(3) ドーム型船台のイメージイラスト作成
 我が国に導入する際のドーム型船台のイメージイラストを実態調査結果をもとに、日産建設(株)に発注し、作成した。
■事業の成果

我が国造船業は10数年続いていた不況を脱し、明るい兆しが見えているものの、斯業に歩ける設備投資はこの間停滞し、特に労働環境の整備は立ち遅れ、その結果世間一般に言われている3K(きつい、汚い、危険)の代表企業のようにイメージされている。これからの造船業活性化のためには、企業活動を通じて地球環境を維持し、人に優しい企業、地域社会との調和、そして好環境下での作業整備を目指さなければならない。
 我が国における造船業は、ごく一部の船舶を除き、屋外建造が当然とされ、高温多湿な夏季の過酷な労働環境もあたりまえの事としてすごされてきた。このような労働環境の実情は、若い労働力を吸引する魅力どころか一見して拒否反応をおこさす一因ともいえよう。
 今回、調査を実施したヨーロッパに実在する屋根付船台を保有する代表的な2社は、建設までの過程は異なるものの、それぞれ北欧の厳しい気象条件のハンディを克服するためドックを屋内化し、作業工程の全天候型化が実現され、素晴らしい作業環境のもとにあった。
 本事業の実施は、今後の我が国造船業のあり方について大いな刺激を与え、近い将来、この様な作業環境を備えた船台・ドックの建設を検討する際、大いに寄与するものと思われる。





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